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パリの中華屋の娘のおはなし

前回のアイデアレシピで腐乳の味噌汁を書いていたら(実際あれを書きながら横で白飯と腐乳の味噌汁を勢いよく食べていた)頭の中が中華寄りになったので今日は私の大好きな友達で、中国系フランス人の中華屋の娘の事を書いてみようと思います。彼女の名前はソフィー。

カレーに中華に、フランスっぽくないと思われるかもしれないけれど、ここフランスは移民大国であり、レストランも色んな国の料理がある。そして私も立派な「移民」だ。移民はそれぞれ理由があってフランスにいるわけで、前回話した洗い場の子達はみんな(みんなが皆んなではないと思うけれど)家族を自国に残していわゆる出稼ぎに来ていて毎月家族に仕送りをしている。奥さんや子供を残して年に1回会えるか会えないか。皆んな家族の写真を携帯の待ち受けにしていたりして、私が家族や彼らの国について色々と質問すると皆んな嬉しそうに色んな写真を見せながら自国、家族の自慢をしてくれる。彼らの生き方を想像しようとしても多分かけらも想像出来ないと思う。そういう彼らを見るといつも背筋が伸びる思いだ。
大切に生きたい。そう思う。
私の思うに移民は苦労している分(言語の問題や多少なりとも感じる差別、自国よりも何かと不自由だからか)人の痛みがわかる分、他人に優しい気がする。(もちろんフランス人も優しいけれど、)ソフィーは両親の世代で中国の広東からパリにやってきた。彼女はフランス国籍パリ生まれパリ育ちのパリジェンヌだがやはり多少の差別的なものは感じていると言っていた。
パリの街には中華総菜屋というものが結構あって、イートインも出来るが大抵は持ち帰りが多い。あまりやる気を感じるお店は多くなく(私のいうやる気とは、料理に対してのクオリティーへの向上心の話)ほとんどが中国からやってくる冷凍のものを綺麗に並べて売っている。肉まんにシュウマイ、春巻きなど。だからどこに行っても同じもの。同じ味がする。
彼女の両親も若干それに近いお店をやっていた。ソフィーとは以前同じお店で働いていて実際は半年くらいで辞めていったが、とにかく明るくて優しい女の子で、辞めてからも時々食事に行ったりする仲だ。彼女は何か底抜けの明るさがあって冗談もなかなか面白い。彼女と働いている時も、話し始めるといつも2人でゲラゲラ笑ってしまい話が止まらず仕事が進まないという感じだった。こういう友達は探そうと思っても探せるものではない。貴重な存在だ。
彼女は実家の中華屋を継ぐからという理由でお店を辞めた。継いですぐに彼女のお店に食べに行ったのは確か3年ほど前。凱旋門の近くにあるので(あの辺りはビジネスマンが多い)お昼をチャチャっと食べにくるお客さんで賑わっていた。はじめてシェフをするとクオリティーが安定するまで少し時間がかかるのはしょうがない。でも私は「味」はどうでもよく(だって実際とても賑わっていたし)友達が自分の両親のお店を継いで生き生きと働いている姿を見れてとても、とても嬉しかった。しかもお店を改装して今よりももっと本格的な中華を出せるお店に将来的にしたい、とも言っていた。
フランスはコロナの影響でロックダウンをしていた時、レストランが全く開けられない時期も数ヶ月あった。彼女はその期間を自分のスキルアップに当てた。凱旋門辺りには外資系の高級ホテルが多い。ロックダウン中もちろんホテルも完全休業。これもラッキーな話だなと思うが、そこの高級ホテルに入っている星付きの中華料理のシェフが近所に住んでいてたまたま知り合ったらしく、そのシェフに中国料理を習うという計画をした。その後レストランへの規制も緩和され、テイクアウトはオーケーという規定に変わった。その時期も彼女はそのシェフに習いながら一緒にテイクアウトの中華料理を作り続けていた。インスタグラムで立派な中華弁当のようなものを作っていてとても食べたかったが私の家から凱旋門は遠いので電車は禁止されていたその時期は凱旋門まで彼女の料理を買いに行くことが出来なかった。でも頑張ってるんだなということだけは写真からとても良く伝わってきた。

さて。少し長くなりそうなので続きは次回にしようと思います。

次回は腕を上げたソフィーの料理と中国料理について。


ノエル休暇が終わり今はいつも通り働いているのですが、結構毎日クタクタになってしまい当初目標にしていた週3回更新が難しいということに気がつきました。でも週に2回は書けるように上手く自分の体力と時間をもっとコントロールしたいと思う今日この頃です。

今日のアイデア料理

ふるふる柔らか洋風茶碗蒸し

ソフィーと働いている時お店でこの茶碗蒸しをコースの1つに出していた時があり、ソフィーが大好きだと言っていたのを思い出し(この茶碗蒸しは大抵のフランス人は大好きだ)今日はこれのレシピと作り方を紹介します。

レシピはいたって簡単で

全卵と鶏の出汁が1対3の割合。

卵100gに鶏の出汁300gこれで3−4人前だと思います。

卵はよくほぐし出汁と合わせたら一度濾す。その後に塩で味付けする。これだけ。私は胡椒もするのが好きで、これは合わるせる具材によって試してみてください。

鶏の出汁はキューブでも代用可能だと思います。でも時間と手間を惜しまない方であればお肉屋さんでガラを頂き鶏ガラスープを自分で摂ってみてください。キューブとは別物ですし一度とると色々な料理にも使えます。冷凍も出来きます。

後はきちんとラップをして15分ー20分ほど蒸してください(量によって時間は変わるので時々揺らしてみてください。ふるふるとしたらオーケー。)蒸気はとても熱いので火傷には注意してください。

とても柔らかく、鶏の出汁で作っているので濃厚で少し洋風な雰囲気になります。一般的な具を入れてもいいと思いますが私のオススメは上に餡をかける食べ方。カニの餡掛けやきのこの餡掛け、青菜やネギに少し生姜も美味しそう。当時レストランでは綺麗な洋風のスープを少しかけて、いくらと薄くスライスしたカラスミを載せて出していました。正直カラスミは食感的に合わないなと思ったのですが(削った方が美味しいかもしれない)いくらはとても合っていたと思います。


写真は家の前のサンマルタン運河をお正月に散歩していた時に撮ったもの。
料理とは関係ないのですが最近のパリの雰囲気が伝わるかなと思い載せてみます。

ではまた次回。

良い一日をお過ごしください。


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