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父と母


私の家族は、父と母と私の3人家族だ。


父は、お固い、真面目な考えをする人だ。

母は、少しミーハーで、昔の固定観念に縛られているような人だ。

どちらも堅苦しくはあるが、とても良い人であり、私の両親である。


だけれど、最近、私はこの関係が不安だ。



実は、私の両親は離れて暮らしている。

私は話を聞いたとき、こうなることは予想していたし、いずれそうなるとは思っていた。


両親の仲は悪くないが、良くはない。


だからこそ、私にとっては良い親なのだろうが、
二人の間ではたくさんのすれ違いや人間関係の亀裂が生まれていたはずだ。


別居すると言い出したとき、母は私に言った。


「私はこの十数年間、ずっと我慢してきたんだから」


これを聞いて、私は素直に腑に落ちてしまった。

そして、腑に落ちた瞬間、母の1人の女性として見えた気がした。


両親は私の親でもあり、人間でもある。

でも私は、なんとも言えないもどかしさに襲われることが多くなった。


街で仲の良さそうな家族を見た時

友人の家族の話を聞いた時


私は心が痛むのを感じた。


もちろん、私だって楽しい家族生活を送っていたし、今も何不自由ない生活を送っている。

一緒に買い物だって行ったし旅行だって行った。色々な場所に家族で連れていってもらった。

それは、紛れもなく家族の、両親のおかげなのだから。

家族として、1人の娘としてたくさん愛されてきたのだ。

でも、何か違う。

違う。今は。


私達は、家族ではないのか。
家族じゃなくなってしまったのか。

家族とは、何か。

世の中には色々な関係性がある。

私はもう、その様々な関係を容認しなければいけない年齢だと。そう頭では考えている。


じゃあ、この関係性は何なのか。


家族とは何なのか。

ふたりとも、私にとっては唯一無二の親であり、ふたりにとって、私は娘だ。

でも、状況を見るたび、人の話を聞くたび、私の中で次々に家族の色々なものが崩れていく。

母は新しい仕事を始め、前より疲れるようになった。新しいことをしなくなった。

顔から明るさが消えることが多くなった。
日増しに疲れているように見えて、でも私には、何も言えなかった。


父は久しく会わないが、会うと少し寂しそうにしていた。
前から1人が多い人だが、離れて余計に1人が強調されて見えた気がした。

父の家は近い。
電車で父の家の最寄り駅を通ると、近いのに、すぐそこなのに、なんだか遠いような気持ちになって心がキュッと締め付けられた。


私も忙しくなってから、前よりも家にいる時間が格段に短くなった。これが大人になるということだ、と母は言っていたが、それが良いことなのかは未だにわからない。

前に久々に家に帰ってきた見た母は疲れていて、なんだか前よりも老けて見えた。

それが、自然の摂理なのか、それとも疲れなのか。

呆然として、寂しくなる自分がいた。


私には、悲しいことに、この先行きがあまり見えない。
どんよりと、ずっと厚い雲がかかったかのように、何も見えない。


太陽がほしい。けれども、太陽にはなれない。


こんな形で、このことをここに載せるのは良くない。

どこかから伝わって、誰かから本人に伝わっても困ることだ。何より私が苦労する。

それに、私は、こんなことをここに書いて、情けが欲しいわけじゃない。助けが欲しいわけでもない。

知ってる。
そんなこと、言われなくたってわかってる。

だけれど、
心がずっと痛かった。
我慢の限界が来ていた。

どうすればいいのか、
何もわからずにいた。


また、一緒に暮らしたい。

そう思うことはあるが、
それが最善策だとは思わない。


どうか、みながどこにいても幸せでありますように。


どうあっても、幸せになれますように。


それを願うことしか私にはできなかった。


#エッセイ #コラム #大学生 #両親 #家族

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