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Part of Your World

ディズニーのリトルマーメイドで、大好きな曲がある。主人公アリエルが人間の世界への憧れを歌う、「パート・オブ・ユア・ワールド」だ。

直訳すると、「あなたの世界の一部になりたい」と歌う歌。もう少し意図を汲むなら、「あっちの世界に私も行きたい」「あの世界の住人に私もなりたい」だろうか。

かれこれ10年くらい前、九州の田舎町で中学生活を送っていた私はこの曲に自分を重ねていた。住んでた町には高校がなくて、憧れの高校は電車を乗り継ぎ1時間の場所にあった。「いつかあの高校へいくんだ」その一心で、勉強した。私にとっての「ユア・ワールド」は市内の高校だった。

高校に入ると、次はもっと遠い場所を見てみたくなった。憧れの京都で大学生生活を送れたら、どんなに素敵だろう?そう思うようになり、私の「ユア・ワールド」は京都に変わった。

京都に住むようになり、毎日のようにお寺や神社をめぐった。そしたら今度は海の外のことも知りたくなった。「ユア・ワールド」は、NYやロンドン、パリといった異国の都になった。お金を貯めては旅に出るようになった。

だけどそれ以降、私にとっての「ユア・ワールド」がなくなってしまった。どうしても行きたい憧れの場所や生き方を見失ってしまったのだ。

就職のときにぼんやりした目標はあったけど、それは「喉から手が出るほどほしかったか」と聞かれると首をかしげてしまうし、義務感に近いものだったと思う。

デンマークに留学した弟が、私とまったく同じように「パート・オブ・ユア・ワールド」を聴いていた。「この曲聴きながら、留学のための勉強したんだよね」と笑う弟が私には眩しすぎて、自分は何か大事なものを失くしちゃったんじゃないかなぁとひっそり落ち込んだ。気づけば私は、この曲を聴くこともなくなっていた。

だけど今日、【旅祭2018】に行って見つけた。大人になった私にとっての「ユア・ワールド」、つまり憧れの場所。自分が行きたい世界。

3年後には、旅祭で「話す側」に行きたい

伊佐知美さん、古性のちさん、岡村龍弥さん、前田塁さんの4人のトークを聞きながら決心した。絶対私も「あちら側」に行きたい。

旅をしながら生活する。旅を通して仕事をする。旅自体を仕事にする。夢物語だと諦めていた生活を実現している人たちが目の前に4人もいる。

決してラクじゃない、とってもハードな生活だよとみんな口を揃えて言っていた。前の私ならそれを聞いてひるんだかもしれない。だけど今の私は知ってる。安定だけが幸福じゃないし、「ラクにお金を稼げること」なんて自分は求めてない。

帰り道でひさしぶりに聴いた「パート・オブ・ユア・ワールド」は、前よりもきらめいて聴こえた。

サポートいただけたら、旅に出たときのごはん代にさせていただきます。旅のあいだの栄養状態が、ちょっと良くなります。