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太陽と月〜二つの物語

私たちは二つの物語を同時に生きています。それは太陽と月の物語です。人は誰しも地球人生を生きることで「世界でたったひとつの神話」を作っています。太陽の物語は外に向かって創造されます。自分自身と世界がダイレクトに交わってぶつかり合い、様々な反響を生んでいく英雄物語です。



太陽(生命力・創造性)は現実世界の中で自分自身を輝かせ活かそうとします。個性と才能と魅力を世界に向けて惜しみなく表現し、最大限の存在意義と生きる喜びを生み出していきます。また、それによって実際的生業(収入や生存基盤)をも得ていくのです。



一方、月の物語は個々人の内的世界の中で繰り広げられるので、他者からはあまり目に見えません。実際的成果物もほとんど生み出さないため、(月という内的世界の探求が)軽んじられることがあります。しかし、こちらも同じくらい重要です。太陽の物語は月の物語に支えられています。月は太陽の性質のようにストレートではなく、より複雑化していて、それは常に二重性を持って展開されます。



まるで巧妙なブラックマジックを紐解いていくような月の物語。それはまず初めに、出生時の月の星座とハウスに「自己存在の安定化・情動的安心感の拠り所」を強く求めることからスタートします。それが十分に満たされていないと不安が襲い、自分が自分であるという実在感や安定感を何ひとつ得られません。



でも、月は写し鏡の構造、なのです。その反対側にある性質を取り入れることなしに月を満たすことはできない仕組みです。これが月にかけられたひとつめのマジックです。さらに、反対側の性質に安穏としていては月の物語は完成しないーーこれがふたつめのマジックです。



私たちは出生時の月が示す要素を必要としています。それは目に見えないけれど、私たちの情動や私的生活を支える上で不可欠なものです。しかし、それはストレートには得られません。強く渇望しているもの(月)は反動形成のような状態で具現化してしまうからです。



※反動形成とはあまりにもそれを欲しているがために、それを無かったことにしたり、感情や本心を隠したり、複雑化させることで、非常に不安定な現れ方をするという意味です。



出生時の月の性質は本質として持っていますが、反動形成として現れることが大半なので、そこに拘ると本人も周囲の人もとても苦しくなります。そして、他者から見るとかなり滑稽な様相(アンバランスで子ども染みた言動)に映ります。



たとえば出生時の月が蟹座である場合。私の母が月蟹座ですが、生まれつきセンシティブな心的状態であるため、母性的優しさで包まれたいという本能的欲求を抱えています。また、自分自身も良い母親でありたいという強い思いがありますが、それが反動形成として表現されるので、家族は正直迷惑でしたw



彼女が母性と思って表現することの大半が一人よがりであり、時に暴力的でさえある支配的コントロールになってしまうのです。月蟹座の人が母性を持っていないわけではありません。全ての月はその性質を持っているけれど、その性質が「過剰反応、自己証明、欠乏感の補填行為・被害妄想・未成熟さ」として表現されてしまうという月のブラックマジックが掛けられているのです。



また、たとえば月が蠍座である場合。私がそうなのですが、自分には洞察力があると深い場所で信じているため、あるいは蠍座的深遠さを本能的に欲しているため、世界をそのようなレンズで見てしまいます。世界は危険な場所であって、何事も注意深く探らねばならないという強迫観念を持っている故、何らかのトリガーが起こるとすぐに疑うのです。



それもごく身近な大切な相手に謂れのない疑いの念を向けますので、自分から人間関係を破綻させます。蠍座の性質が反動形成として現れてしまうので、やっぱり周囲の人はとても迷惑です。もっと率直で素直なものの見方をしてくれると助かるのに!と月蠍座の周囲の人は思っていることでしょうw



多くの場合、月は第一段階としてこのように表現されます。それは吹き出してしまうくらい子ども染みているか、月の性質をアピールしようとすることで逆説的な表現(その性質が未熟で欠けた状態)となって現れるのです。



だからこそ、出生時の月がもたらす要求は一旦手放すしかありません。そして、反対側の要素を満たすのです。そもそも反対側の性質は初めから備わっていますから、気づきさえすれば自然にそう振る舞い、それを満たすことができます。そうすると、ひとつめのマジックはスルスルと解除されます。私的生活が不思議なくらい満たされて自我が居場所と安定感を獲得するのです。



そして、月の物語は第二章に入り、いよいよクライマックスを迎えます。ここでは一旦手放したはずの出生時の月に戻っていくフェーズになります。反対側を満たすことで出生時の月は成熟して落ち着いていますから、ここまで来ると相当楽になっているはずです。すでに他者からの承認を求めたり、過剰で滑稽な言動によってエネルギーを得る必要はなく、自己の安定感を自分で生み出せる段階ですね。



月の物語の二重性とは、私的生活のスタイル(プライベートな在り方)や感情の扱い方は反転の月の性質で満たされるのに対して、存在の本当の拠り所は出生時の月そのものにあるという点です。反転の月は水面に映し出された浅いレイヤーに位置する月であり、出生時の月は深いレイヤーに位置する月の深層部・本質です。(これは大変重要なことなので必ず分けて捉えてくださいね!



わかりにくいので具体的に言います。たとえば出生時の月が蠍座にある場合、私的生活や感情の扱い方は反転牡牛座のスタイルが自然な在り方です。五感的喜びを重視し、ゆったり時間が過ぎていくような豊かな生活をして、焦らず穏やかでのんびりと、大らかに感情を扱うことで自己が安定します。



しかし、手に入れるべき本丸(ラスボス)は蠍座的要素(出生時の月)です。それを獲得してこそ、本当の安定を得ます。パートナーや特定の親友との揺るぎない絆、深い情的繋がりこそがあなたの第一欲求の在り処です。それを得てこそ、真に内的世界が安定します。そして、蠍座的洞察力や世界と一体化したい、見えないものを解き明かしたいという欲求が健全に安定して出てきます。



一周して到達した月の本当の願い。それは他者からはほとんど見えませんが深い場所にいつでもあり、純粋な生きるモチベーションになります。太陽の物語を裏から支える隠れた原動力になるのです。



月獅子座の物語も紹介しておきます。私的生活や感情の扱い方は反転・水瓶座のスタイルが自然な在り方です。プライベートでは常識に囚われず、独自の世界観を貫きます。何かに没頭したり、人とは違う視点を思い切り生かししてください。感情を理性的かつ知的に扱うことで安定しますし、あなたは少々頑固でも全く構いません!聞かれない限りは自分の考えを押し付けるようなことはないでしょうが、求められると忖度なしに真実を話すでしょう。自分自身の優れた視点や持論をとことん追求してください。



そうして、月が安定すると第二章の始まりです。本当に欲しい獅子座の獲得に向かいます。あなたが本当に欲しいものは「自分の人生の英雄になることであり、女優になることであり、主役になること」です。自分を全肯定して生きる喜びを発散することで、静かに輝くオーラを放ち人を惹きつけます。



そして、面倒見の良い姉御肌で人情派の自己イメージをしっかり獲得するのです。これは内的世界の物語(心理的な旅路)なので、太陽獅子座のようには具現化されません。月の要素は他者には見えにくいですが、内的な獅子座(内側で輝く強い生命力と自信)を獲得したことで、揺るぎない真の安定感を得ることができます。



このように二つの段階を経て、全ての月のブラックマジックは解除されます。太陽の物語も月の物語もとてもドラマチックです!太陽の物語は明るく眩しく英雄の旅路のようですが、月の物語は非常に個人的で孤独でミステリアスな道のりです。伏線があちこちに散りばめられた深遠な旅です。私たちは二つの物語を同時に生きています。


太陽の物語に必要なものは前に進み続ける勇気です。生命に生来備わった生きる力で自分自身を世界に開示し続けることです。そして、月の物語に必要なものは内的世界を見る透徹力と正直さです。自分自身への慈愛と母性も要求されます。自分をしっかりと見てあげる。「見てあげること」は愛そのものに他なりません。



幼子を慈しむように自分を優しく包み、どこまでも寄り添うことで月はほのかな光で進むべき道筋を照らしてくれます。あなたは本当は何が欲しいの、どうあれば安心できるの、何がそんなに怖いの・・・そうやって自分の中の幼子と対話してあげてください。月の物語はあなたにしか解き明かすことはできないのですから・・・



太陽と月、魅惑的な地球人生へようこそ。


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