【変化を恐れるな】ナポリのチームビルディング特集!

上記を聞きながら、ご覧ください!

ナポリの再建

マラドーナを擁し、セリエA優勝を果たしたSSCナポリ。このチームは22-23シーズンに優勝したナポリとは別のチームである。

実はSSCナポリは2004年に負債を抱えたまま破産。その後、現会長デ・ラウレンティス率いる新会社がSSCナポリの継承権を裁判所の判断で勝ち取り、現在のナポリという形になっている。

つまり2004年、破産したナポリは現体制でスタートし、十数年の歳月を経てようやくセリエAでスクデット争いするチームにまで帰ってきたのだ。

そこで、今回はナポリスクデット獲得記念として、破産後のナポリのチームビルディングについて語っていきたいと思う。

2004年に再スタートを切ったナポリは、06-07シーズンにセリエA昇格を決める。その後、3シーズンセリエA残留を果たした。

南米の選手を一本釣りするのが得意なディレクターであるマリーノのもとチームを作りあげて、09-10シーズン途中に監督をドナドーニからマッツァーリへと交代したことによりリーグ6位と右肩上がりに結果も出ているといった状況だった。

【10-11シーズン】

【夏】

★獲得★
カバーニ 23歳 ウルグアイ パレルモ ローン 400万ユーロ

★放出★
クアリアレッラ 27歳 イタリア ユベントスへローン 450万ユーロ
デニス 28歳 アルゼンチン ウディネーゼ 200万ユーロ
サラジェタ 31歳 ウルグアイ フリー トルコのクラブへ

【冬】

★獲得★
ビクタールイス 21歳(CB)スペイン人 850万ユーロ


監督はマッツァーリ。このシーズン途中からディレクターがマリーノから、ビゴンへ変わる移行期だった。しかし、現場ではカバーニ獲得でチームが完成!衝撃の3位フィニッシュでカバーニが26得点と活躍した!11-12シーズンのCL出場権も獲得!

【11-12シーズン】

【夏】

★獲得★
インレル 27歳 スイス ウディネーゼ 1800万ユーロ
カバーニ 24歳 ウルグアイ パレルモ 完全1200万ユーロ
フェデリコ・フェルナンデス 22歳 アルゼンチン エストゥディアンテス 330万ユーロ
パンデフ 28歳 マケドニア インテル 150万ユーロ

★放出★
クアリアレッラ 28歳 イタリア ユベントス 1050万ユーロ完全
ビクタールイス 21歳(CB)スペイン人 850万ユーロ ヴァレンシア

【冬】

★獲得★
バルガス 22歳 チリ チリのクラブ 1350万ユーロ


結果はリーグ戦は6位。ただし、CLベスト16&コッパイタリア優勝!!!カップ戦とリーグ戦の両立が難しかったものの、マッツァーリの3バック戦術は欧州でも注目され始めていた。

【12-13】

【夏】


★獲得★
べーラミ 27歳 スイス フィオレンティーナ 800ユーロ
パンデフ 28歳 マケドニア インテル 750万ユーロ

★放出★
ラベッシ 27歳 アルゼンチン PSG 3000万ユーロ
ガルガーノ 28歳 ウルグアイ インテル 125万ユーロ(レンタル)

【冬】

★獲得★
ロナルド(CB) 27歳 ポルトガル ポルト 100万ユーロ(レンタル)
アルメロ 26歳 コロンビア ウディネーゼ 100万ユーロ(レンタル)


ラベッシを勢いにのっていたPSGへ放出。アルゼンチンから一本釣りし、ナポリで成長した選手だったので、セリエファンとしては少し残念だった。

12-13シーズンの結果は驚きの2位!ただ、ELは予選敗退&コッパイタリアもラウンド16敗退とカップ戦では結果を残せなかった。

レンタル修行が続いていたインシーニェが戦力になり、パンデフも活躍…ただ、ただ、ユベントスが強すぎたシーズン。

【大変革の13-14シーズン!!!】
マッツァーリがインテル挑戦&ベニテス招聘

【夏】

★獲得★
イグアイン 25歳 アルゼンチン レアルマドリード 3900万ユーロ
ラウールアルビオル 27歳 スペイン レアルマドリード 1200万ユーロ
カジェホン 26歳 スペイン レアルマドリード 950万ユーロ
メルテンス 26歳 ベルギー PSV 948万ユーロ
サパタ 22歳 コロンビア エステディアンティス 747万ユーロ
レイナ 30歳 スペイン リバプール 金額不明ローン移籍

★放出★
カバーニ 26歳 ウルグアイ PSG 6450万ユーロ
そのたもろもろ放出でスカッドを整理している

【冬】

★獲得★
ジョルジーニョ 22歳 イタリア エラスヴェローナ 950万ユーロ
グラム 22歳 アルジェリア サンティエンヌ 500万ユーロ

★放出★
バルガス 24歳 チリ ヴァレンシア 150万ユーロ
カンナバーロ 32歳 イタリア サッスオーロ ローン(金額不明)

チームを残留が目標のクラブから、CL、EL権を狙うクラブに成長させたマッツァーリと、大エースで得点王にも輝いたカバーニを放出。大きな転換点となった。代役には経験豊富なベニテス、Rマドリードから放出されたイグアインが選ばれている。

リーグ戦3位!CLはGL敗退&ELベスト16敗退。ただしコッパイタリア優勝!
新戦力の活躍でセリエAにスペイン風の新風を巻き起こした。

【14-15シーズン】

【夏】

★獲得★
クリバリ 23歳 セネガル ゲンク 775万ユーロ
デガズマン 26歳 オランダ ビジャレアル 600万ユーロ
ミチュ 28歳 スペイン スウォンジー 125万ユーロ(レンタル)

★放出★
フェデリコ・フェルナンデス 25歳 アルゼンチン スウォンジー 1000万ユーロ
ベーラミ 29歳 スイス ハンブルガーSV 600万ユーロ
バルガス 24歳 チリ QPR 180万ユーロ(レンタル)
カンナバーロは完全で買取10万ユーロ サッスオーロ

【冬】

★獲得★
ガッビアディーニ 25歳 イタリア サンプドリア 1250万ゆーろ
★放出★
特記事項無し


リーグ戦5位と苦戦。しかし、コッパイタリアベスト4、CLGL敗退→ELベスト4。カップ戦では一定の結果を残した。

さらにシーズン終了後の6月にディレクターだったビゴンとの契約も終わり、現ディレクターのジェンティーレが15-16シーズンからディレクターに就任する。

<ビゴン時代>

ビゴンは柔軟なディレクターであり、人を良く動かすタイプだった印象だ。マッツァーリからベニテスという大きな変化にも対応すべく、Rマドリーの選手を獲得したことやPSGへ躊躇なくカバーニ、ラベッシを放出したことが、その柔軟性&人を良く動かすスタイルを表している。

また、獲得した選手もサッリ時代にも活躍した選手が多く、若手選手の抜擢&南米からの1本釣りも上手な印象だった。

【15-16シーズン】

【夏】

★獲得★
アラン 24歳 ブラジル ウディネーゼ 1150万ユーロ
ヒサイ 21歳 アルバニア エンポリ 500万ユーロ
レイナ 32歳 スペイン バルセロナ 200万ユーロ

★放出★
インレル 31歳 スイス レスター 700万ユーロ
バルガス 25歳 チリ ホッフェンハイム 600万ユーロ

【冬】

★獲得★
特記事項無し

★放出★
デガズマン 28歳 オランダ カルピ ローン放出


サッリ監督就任!自分の色を出し始めるジェンティーレ。サッリのサッカーに合いそう&中堅国の選手を選んでいる。

セリエA2位、コッパイタリアベスト8、ELはGL敗退。セリエAでの結果よりも、ナポリのサッカー、サッリイズムとイタリアで呼ばれたスタイルに注目が集まる。

【16-17シーズン】

【夏】

★獲得★
ミリク 22歳 ポーランド アヤックス 3200万ユーロ
ジエリンスキ 22歳 ポーランド ウディネーゼ 1800万ユーロ
ディアワラ 19歳 ガーナ ボローニャ 1450万ユーロ
ジェッケリーニ 31歳 イタリア サンダーランド 150万ユーロ

★放出★
イグアイン 28歳 アルゼンチン ユベントス 9000万ユーロ

【冬】

★獲得★
パヴォレッティ 28歳 イタリア ジェノア 1800万ユーロ

★放出★
ガッビアディーニ 25歳 イタリア サウサンプトン 1700万ユーロ


リーグ戦3位、CLベスト16、コッパイタリアベスト4。何より欧州の舞台でエースイグアインを抜かれてもCL突破できたのはサッリとそれに適した選手がいたから。ただ、その選手の大半は前体制で揃えていたというのは意外だった。

【17-18シーズン】

【夏】

★獲得★
マリオルイ 26歳 ポルトガル ローマ 375万ユーロ(レンタル)

★放出★
パヴォレッティ 28歳 イタリア カリアリ 980万ユーロ
サパタ 26歳 コロンビア サンプドリア 150万ユーロ

【冬】

★獲得★
マリオルイ 26歳 ポルトガル ローマ 575万ユーロ(レンタル)
★放出★
特記事項無し


リーグ戦2位の勝ち点91と大成功のシーズン。ユベントスさえいなければ、という結果だった。ただし、CLはGL敗退、コパイタリアもベスト8とカップ戦はイマイチの結果に終わった。

【18-19シーズン】

【夏】

★獲得★
ファビアンルイス 22歳 スペイン レアルベティス 3000万ユーロ
オスピナ 29歳 コロンビア アーセナル ローン(金額不明)
★放出★
ジョルジーニョ 26歳 イタリア チェルシー 5700万ユーロ
サパタ 27歳 コロンビア サンプドリア 1850万ユーロ

【冬】

★獲得★
なし
★放出★
ハムシク 31歳 スロバキア 中国のクラブ 2000万ユーロ


サッリ&ジョルジーニョのチェルシー行き、ハムシクも当時流行りの中国行きとチームのスクラップ&ビルドが必要だったシーズン。

そして迎えた監督はアンチェロッティ。結果は勝ち点79の2位と、大きな変化があったにしては、安定した成績だった。

【19-20シーズン】

【夏】

★獲得★
ロサーノ 24歳 メキシコ PSV 4500万ユーロ
マノラス 28歳 ギリシャ ローマ 3600万ユーロ
メレト 22歳 イタリア ウディネーゼ 2600万ユーロ
エルマス 19歳 北マケドニア フェネルバフチェ 1620万ユーロ
ディロレンツォ 25歳 イタリア エンポリ 980万ユーロ
オスピナ 30歳 コロンビア アーセナル 350万ユーロ

★放出★
ディアワラ 21歳 ギニア ローマ 2100万ユーロ
アルビオル 33歳 スペイン ビジャレアル 400万ユーロ

【冬】

★獲得★
ロボツカ 25歳 スロバキア セルタ 2100万ユーロ
ぺターニャ 24歳 イタリア SPAL 1660万ユーロ
ラフマニ 25歳 コソボ エラスヴェローナ 1420万ユーロ
デンメ 28歳 ドイツ ライプツィヒ 1025万ユーロ
ポリターノ 26歳 イタリア インテル 250万ユーロ(ローン)

★放出★
特記事項無し


シーズン途中に会長、インシーニェらと確執が噂されていたアンチェロッティが解任され、ガットゥーゾが監督に就任。結果はリーグ戦7位と苦しんだが、CLはアンチェロッティがGL突破しベスト16で敗退。ガットゥーゾが就任後もコッパイタリアで勝ち抜き、まさかの優勝。カップ戦で一定の結果を残したシーズンだった。

【20-21シーズン】

【夏】

★獲得★
オシムヘン 21歳 ナイジェリア リール 7500万ユーロ

★放出★
アラン 29歳 ブラジル エバートン 2460万ユーロ
ヴェルディ 28歳 イタリア トリノ 2200万ユーロ
イングレージ 28歳 イタリア パルマ 2180万ユーロ

【冬】

★獲得★
特記事項なし

★放出★
ミリク 26歳 ポーランド マルセイユ 393万ユーロ(ローン)
ジョレンテ 35歳 スペイン ウディネーゼ フリー(500ユーロ)


ガットゥーゾ体制でフルシーズン戦い、リーグ戦5位、EL予選敗退(プレーオフ)、コッパイタリアベスト4と、昨シーズンに比べると成績はダウン。なかなか厳しい結果となった。

【21-22シーズン】

【夏】

★獲得★
ポリターノ 27歳 イタリア インテル 2100万ユーロ
アンギサ 25歳 ガーナ フルハム 130万ユーロ(ローン)
ファンジェズス 30歳 ブラジル ローマ フリー

★放出★
特記事項無し

【冬】

★獲得★
トゥアンゼベ 24歳 イングランド マンU 100万ユーロ(ローン)
★放出★
マノラス 30歳 ギリシャ オリンピアコス 250万ユーロ


スパレッティ最初のシーズンは戦術が大ハマりして独走も、シーズン後半で失速。リーグ戦はミラノ勢にまくられて3位、コッパイタリアベスト16、EL予選敗退(プレーオフ)となった。

【22-23シーズン】

【夏】

★獲得★
キムミンジェ 25歳 韓国 フェネルバフチェ 1805万ユーロ
オリヴェラ 24歳 ウルグアイ フェタフェ 1650万ユーロ
アンギサ 26歳 ガーナ フルハム 1600万ユーロ
クヴァラツヘリア 21歳 ジョージア ディナモバトゥミ 1150万ユーロ
ラスパドーリ 22歳 イタリア サッスオーロ 500万ユーロ(ローン)
シメオネ 27歳 アルゼンチン エラスヴェローナ 350万ユーロ(ローン)
エンドンベレ 25歳 フランス トッテナム 5000ユーロ

★放出★
クリバリー 31歳 ガーナ チェルシー 3800万ユーロ
ファビアン・ルイス 26歳 スペイン パリ 2300万ユーロ
ミリク 28歳 ポーランド マルセイユ 800万ユーロ
メルテンス 35歳 ベルギー ガラタサライ フリー
インシーニェ 31歳 イタリア トロント フリー
オスピナ 33歳 コロンビア アルナセル フリー
グラム 31歳 アルジェリア クラブなし フリー

【冬】

★獲得★
ゴリーニ 27歳 イタリア アタランタ ローン獲得
ベレシンスキ 30歳 ポーランド サンプドリア ローン獲得
★放出★
シリグ 36歳 イタリア フィオレンティーナ フリー


圧倒的な独走を見せてセリエA優勝!CLでもベスト8まで残る快挙を達成する。クヴァラツヘリアが最大の発見と称賛され、オシムヘンは得点王に輝く、素晴らしいシーズンだった。

【その後…】

会長との不仲を噂されていたスパレッティが退任し1年間の休養を宣言。さらにSDのジェンティーレもナポリを去り、ほぼユベントス内定といった状態。ただ、ナポリは次期監督にはルディ・ガルシアを招聘。来シーズンへ向けて早くも動き出している。

【変化を恐れない…だからこそ次がある】

ナポリと言えば、識者によればユベントス、ミラン、インテルに次いでイタリア国内では人気のクラブであるとのことだ。

ただ、その人気の割にはクラブはメガクラブ、ビッグクラブを目指すのではなく、自前のスタジアム建設などを目指すのでもなく、淡々と変化を受け入れて、ステップアップクラブとしての経営を続けている印象がある。

この特集でも紹介したように、選手としてはカバーニ、ラベッシ、イグアイン、ジョルジーニョ、クリバリらのステップアップを見送り、監督ではマッツァーリ、サッリのような監督を見出して、そのまま彼らのステップアップを見送っている。

選手のステップアップを容認する姿勢は、優れたスカウティング、チームビルディング能力があるからこそ、成り立っているのだろうと想像できる。

特に中堅国以下のタレントのスカウティングに関しては、他に追随を許さないレベルであり、それがあるからこそ、選手たちのステップを見送れるのだろう。

監督のステップアップに関しても、イタリアであれば名将候補になる監督が多く、フリーのベテラン監督も多いため、思い切りよく監督交代にも踏み切れるのだろう。

イタリアサッカー界は「選手を獲得するための経済に関しては厳しい」が、「指導者育成には定評がある」。この歪な環境だからこそナポリというクラブは成り立っており、また、そういった環境が作りあげたクラブであるといえるだろう。

さて。ナポリを歓喜のスクデットに導いたスパレッティ監督、ディレクターのジェンティーレは、ともにナポリを去るようだ。

しかし、それでもナポリは、ステップアップを見送りながら、変化していくだろう。そして、そういう変化があり、ステップアップを見送ってくれる環境にあるからこそ、タレント、名将候補が集まるともいえるかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?