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本当に本当に幸せなこと

私は、幼稚園の年中さんの時に「百日咳」にかかり、入院しました。

私には妹が2人いたので、母は私の1人の為に、
病院に付き添えませんでした。

そこで、祖母が母の代わりに、私が入院している間、
私のお世話をしてくれたのでした。

ある日のことです。
「りんごが赤くなると医者が青くなる」という諺がありますが、
祖母は私の病気が早く良くなるようにと
「りんご」を切ってくれました。

祖母のりんごの切り方は、りんごを回しながら、
くるくると皮を剥いていき、最後にくし形に切る方法でした。

しかし、私の母は、先にくし形に切ってから、
りんごの身の部分をあまり触らず、縦方向に皮をむいていたのでした。

私は「お母さんは、そんな風に切らないから食べない。」と
せっかく祖母が切ってくれたのに、一口も食べませんでした。

それから、病院食では毎食のように、「お味噌汁」がつきました。

祖母は「お味噌汁」のことを「御御御付(おみおつけ)」と呼んでいました。祖母は「「御御御付」は「御」が3つもつくスゴイ食べ物なのだと説明し、私に栄養を少しでも栄養を取らせようと、繰り返し「栄養があるから残さず食べなさい。」と毎食のように私に話すのでした。

みなさんは「御御御付」という言葉をご存じでしたか?お味噌汁のことを御御御付と呼ぶ理由は諸説あるようですが、「御御御付」とは、

室町時代の女房や貴族が使った言葉で、ご飯と一緒に出す汁物を丁寧に言った「おつけ」に、「味噌」をあらわす女房言葉である「おみ」が頭について味噌汁を表現したもの。

macaroni https://macaro-ni.jp/34206?page=2

とあり、味噌が貴重だった時代、具だくさんのお味噌汁は「高貴な食べ物」だったと言えるようです。

しかし、幼い私には、祖母が何を言っているのか理解できないし、食べたくないものは食べたくなかったのです。

咳をすると、喉と胸が痛くなります。
入院をしているにもかかわらず、症状は悪化し、肺炎を起こしていました。

幼い子供のぷくぷくの手には、点滴用の太い針は
なかなかうまく刺さりません。
1日に何本も針を刺されて、痛いことをされる「嫌な場所。」

食べなれない味付けの「地味」な料理が、1日も3回も運ばれてきて、
「食べたくもない食事」を残さず食べるように強く言われる。

そもそもお母さんがいない!!!!!
とにかく早く家に帰りたい!!!!!

こんな状況で美味しくご飯が食べられるはずがありません。

だから、

「安心できる家で」

「大切な人と」

「好きなものを食べられる」


ことは、

「本当に本当に幸せなこと」

なのです。

明日、自分の身の周りで何が起きるかわかりません。
「おうちごはん」を毎日美味しく食べられることは
当たり前ではないのです。

もし、この「本当に幸せなこと」に気づき、
感じることができたなら、
きっとその人の心は「昨日よりも豊かなもの」
になるのではないかと思うのです。


毎日のおうちごはんのことで困っている人を減らすために毎日頑張っています。今はYoutube撮影用の機材購入の資金に宛てさせて頂きたいと思っています。