熱情は、不死鳥のように
昨年の春にロハスフェスタに出店して以来、すっかり燃え尽きてしまった。
テーブルを埋めるだけの作品を作ること、ラッピングや値札付けをすること、什器を揃えて展示すること…集中して短期間に一気にやりすぎたせいか、端的に言えば飽きた。そこから気持ちが離れてしまったのだ。
ただ「飽きてはポイ」という性格ではない。むしろ、わりとしつこい。半年〜数年というタイムラグを挟んで、「飽きては、また手を出す」を繰り返す。それが自分の趣味の黄金パターンだ。
ここ1年はそういう飽きのターンにいたせいで、何か新しく作ってみようという気分にはなかなかなれなくて。ハンドメイドという趣味からは、すっかり遠ざかっていたのだけれど…
この秋、オータムクラシックで羽生結弦くんのフリーの衣装を見て。ふと、このイメージで何か作ってみたいなという気分になった。
個人的な意見だけれど…ハンドメイドは、どこか写真に似ている。
「あ」というふわっとした感覚を捕まえて、自分というフィルターを通して形あるものに落とし込む。そういう所が写真と一緒だ。この羽生君の新しい衣装を見た時に、ひさしぶりに「あ」が生まれた。
そうして「origin」の衣装は、うちの手の中でこんな風に形を変えた。
黒地に走る流れるような金の輝き、よくよく見ればあしらわれている淡い色のフェザー。衣装から、要素をピックアップして。それをどんな形で再現できるのか、手持ちの素材と相談しながら考えてイメージを作る。
男子シングル、フリーの日。試合会場に着ていくのは黒のニットとゴールドのネックレスだ、そして耳にはこのピアスを飾る。彼の衣装そのままではないけれど、きっとファンならば気づくだろう装い…。
少し考えて、そんなコンセプトで制作してみた。
しかしひさしぶりに作ってみて、感じる。頭の中にあるものを現実化する、その作業というのはわりにしんどいものだ。それに大きな手で小さなビーズを繊細にあしらっていく細かい作業は、随分と骨が折れる。
余談だが身長のわりに大きい手をしているようで、自分より手の大きい女性は170cm近い身長でしか見たことがない。下手をすると男性より大きい場合もある。おかげで昔は母や祖母から「不器用そうな手だ」と散々に言われた。
そんな手を何とかあやつり、このピアスが完成した所で熱がおさまった。だからきっと、またしばらくは何も作らない日々が続くと思う。だけれども、また作りたくなる日が来るのも知っている。自分の熱情はいつも、不死鳥のように蘇るのだ。何度も、何度でも。
浅いけれど、息は長い。
自分にとって趣味とは、そういうものなのだ。
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