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来てみんさい、広島へ 8 <雪の日の情景>

広島の南部、特に沿岸部では滅多に雪が積もらない。

今日のような寒い日にはさすがに雪がちらついているが、それでも全く積もる気配は無い。そして生まれ育った呉は広島市内と比較してもさらに暖かい地域だったので、未だに雪が積もると物珍しいという気持ちが抜けない。

だからそういう日には、興奮してカメラを持って街に出てみたりする。

この時は早朝5時台からうろついていたので、朝焼けが綺麗だった。場所は相生橋の上、写真外の右手はすぐ原爆ドームだ。

そのまま川に沿って平和公園に向かっていく。岩の上に散る雪と、川面に映る朝焼けの名残に惹かれて撮る。

木の上にはスズメたちがふっくらと丸くなっている。

一群となって木の上に寄り集まっている様子に、何か面白いことはないものかとしばらくここで立ち止まってレンズを向け続ける。

地面に降りては通りすがる人に驚いて木に舞い戻る…その情景を撮ろうとするけれど、なかなかタイミングが合わない。粘ってジッと待つ。気がつけば1時間近くこの場所にいたようで、我に返ると足裏が凍りそうになっていた。

川沿いを抜けて、平和公園へ。どこか寂しげな様子のバラ園だけれど、それでも僅かに花がついている様子に風情を感じる。

公園内に入り、白に覆われた道へ散った緑に惹かれてシャッターを切る。

通勤時間帯になったからか、陽が少し高くなってきたからか、それともその両方だろうか。道からは雪が消えている。しかしベンチにはまだしっかりと雪が残っている。

だが人が踏み込めない芝生内は、なおも白い。そこへカラスが現れた。

家を出てすでに2時間、そろそろ帰り時のようだ。公園を西側に抜けながら、この朝の情景をそのまま残したくてさらに1枚撮る。

その道すがら友人が同じようなことをしているのをみつけて、後で驚かせようと植え込みの陰から隠し撮りをする。撮りたいものがある時は、自分の挙動不審さについては頭にない。

帰り道の途中で、喫茶めくるに立ち寄りモーニングを。焼きたてのトーストに温かなカフェオレというのは、人を幸福にする組合せのひとつだ。


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135mmの世界からお送りする、広島の雪の情景でした。雪の多い地域からするとぜんぜん積もったうちに入らないかもしれませんが、この辺りでは十分に興奮案件。

そして風景といえば広角で撮るというイメージがありますが、元々100mmを愛用していただけあって。意外と好きな、この距離感。

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