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写真のあなたが見せる顔

人の撮影をしていて面白いな、と思う事の1つが。
ちょっとしたことで、ガラッと変化が起こる事かもしれない。

同じ相手を撮っているのに、印象がくるくると変わるのが面白い。

例えば、着るもの。
ジャケットの色が違うだけで、イメージも変わる。

柔らかなベージュのジャケットは、キリッとした黒よりも
女性らしい華やかさが強調される。

それから髪型もだ。
イベントなどで、ヘアメイクが入るとその効果がよくわかる。

ふんわりかわいらしく、と軽く巻いた髪型と控えめなメイクに…
ロックなイメージで!と、タイトに撫でつけた髪にハッキリした色のリップ。

ちょっと手を加えるだけで、なんて人の印象って変わるんだろう。

他にはポーズだってそうだ。

例えば同じように首の後ろで手を組んでいる写真だって…
姿勢や肘の位置で、全く伝わってくる印象が違う。

話している最中に無意識にとっていたポーズが、様になっていたので
「さっきの首の後ろ手の、あれで撮りたい!」とリクエストしてみたら。

なぜか寝起きの伸びのポーズになったという…

こんな風に身体の動きというのは、写真においては非常に雄弁で。
どんな印象を与えるか、それ1つで全然異なってくる。

細かく言えば、顔の向きや目線の流し方を変えるだけでも
写真の語りかけてくる事は変化する。

同じ服装、同じメイク、同じ髪型。
でもちょっとずつ、伝わってくる人物像は違う。

お客様が選ばれたのは、右端の小悪魔風上目遣いだけれど…
個人的には左や真ん中のが好きだなぁ。

強い眼差しとシャープさ、格好良い女性といったテイストの左に、
女性らしいまろやかさや、どこか抜け感のある雰囲気の真ん中。

こういう風に色んな表情を見せてもらえるの、たまらないよね。

どんな"あなた"を隠し持っているんだろう、と相手を見つめ…
撮影の中で見つけたそれを、次々と切り取っていく。

うちに依頼が来るお客さんは、モデルさんなどではなく。
むしろ「写真は撮られ慣れてなくて…」という方が、圧倒的多数で。

そんな普通の方達だからこそ、些細な変化を一緒に作り出していく事に
余計にワクワクするのかもしれないなって思う。

自らの目線で計算尽くされた、"自撮り"とはまた違う。
他人目線の美しさというものは、覗き込んだ鏡の中には映らない。

だから、写真のあなたが見せる顔は。
まだあなた自身も、知らない顔だったりするかもしれない。

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