サンタさんから手紙が届いたことがある
フィンランドのサンタさんから手紙が届いたことがある。
小学生のときだ。
通っていた英会話の先生が、「わたしが送っておくから、サンタさんに手紙を書きましょう」と、まるで隣町のおじさんに手紙を書くような感覚で言い出したので、生徒4人で、せっせとハガキを書いた。
何を書いたのか全く覚えていないが、Hiとか、My name is Takeko とか、わたしの欲しいもんくれとか、そんな簡単な内容だったと思う。
先生に書き方を教えてもらって、先生は皆の分のハガキを出してくれた。
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そんな手紙を書いたことも忘れて、クリスマスもとっくに過ぎた1ヶ月後、家のポストに赤い大きな封筒が入っていた。
ビリビリ封筒を破ると、1通の便箋が…!
サンタさんからだった。
サンタさんはわたしの拙い英語の短文の葉書に、結構な長文で返事をくれていて、それがとても嬉しかった。
しかも、それがなんと、便箋の中身は日本語で書かれていたのだ。
「サンタさんは日本語がわかるんだ、すごいなあ」と思った。「そりゃ返事はクリスマスすぎるよな、世界中の子どもたちにプレゼント配らなあかんし、手紙も返さなあかんしな」と思った。
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その翌週、英会話教室に行って、友だちに「サンタさんから手紙きた?」と聞いた。
2人ともサンタさんから手紙が届いていたが、なんと1人は便箋の中身が英語だったという。
「何が書いているかさっぱりわからなかった」と彼女は言った。
「そんな英語で書かれてたとか、うそやろ」とわたしと、もう1人の友だちは全く信じようとしなかったが、後日、持ってきて見せてくれた便箋は確かに英語だった。
ウネウネの筆記体。「確かにこれはわからんな」と思った。
しかし、英語も日本語も、サンタクロースは見事に操れることがここで証明された。
サンタクロースは間違いなく、いる。
小学生のわたしは、そう信じきっていた。
☆
昨年だったと思う。
郵便局に行くと、「フィンランドにいるサンタクロースに手紙を書こう」というポスターが大々的に貼ってあった。
大人にしかわからないやり方で、送る方法が具体的に書かれていた。
このポスターを見て、「ははーん」と、この小学生のときの出来事を思い出した。
そのあとインターネットで調べると、出てくる出てくる。
もう素直に夢が見れなくなってしまった年齢になってしまった悲しさを感じたけれど、一瞬でもあの時、あたたかい夢を見させてくれた先生に、初めて感謝した。
あの時のワクワクを、今こうやって、書くことができているのだから。
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「クリスマス」と聞いても、もう特にうっとりも、ワクワクもしなくなった。プレゼントもケーキも自分で買ってしまう。
恋人と過ごすクリスマスを夢見たときもあったけれど、今はもうなんとなくあきらめて、孤独と寂しさがデフォルトになりつつある。
…わたしって、どうしてこんなに暗いのだろう。
けれど、それはそれで、それだけたくさんの人に見守られて、健やかに働けるほどまでに成長した、ということでいいのかな、と思う。
今。サンタクロースからプレゼントもらえるなら、何が欲しいか。
何事も明るく考えられる、素直で前向きな心。
良好な人間関係。
心身の健康。
ハリと弾力ある美肌。
本当はまだまだ出てくる。欲張りだ。
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今日、1ヶ月以上先のクリスマスの記事をなぜ書こうと思ったのか。それは、今ならまだ、フィンランドのサンタさんに手紙を出せば、返事がくるチャンスがある、と思ったからだ。
よろしければ、是非。
ありがとうございます。文章書きつづけます。