千代野さんラジオトーク用

みなさま、はじめまして。
ウータン・森と生活を考える会の石崎雄一郎と申します。
ウータンは、熱帯林を守る活動を続ける環境NGOです。
35年ほど前、東南アジアにあるボルネオ島から、先住民が日本へやってきて、「私たちの森を壊さないで!」と訴えたことから活動が始まりました。
調べてみると、学校の机や箒など身近なところにも熱帯の大きな木を切って作られた熱帯材が使われていることがわかりました。
学校の先生や公務員を中心に団体を立ち上げ、学習会や調査を重ね、日本での熱帯材使用削減を求める活動を始めました。
そのころの日本は特にマレーシアやインドネシアなどからたくさんの熱帯材を輸入していました。
工事などに使われるコンクリートを流し込む型枠の合板として熱帯材を使い捨てのように使っていることもありました。
ウータンは、日本全国の団体とともに、自治体に申し入れ、条例に熱帯材の使用削減を明記させるなどの成果を上げてきました。
 
僕がウータンに参加しだしたのは15年ほど前です。初めてボルネオ島の森を歩いた時の感動は今でも忘れられません。
現地の村人とNGOのメンバーと一緒に森の中をずーっと歩いて、樹齢何百年もの大きな木がある場所で一晩キャンプをしました。
朝、ほおぉーーうっと高い声で鳴くテナガザルの声や、ざわざわざわーっという虫の声や、甲高い鳥の声が聞こえて目が覚めました。
たくさんの生き物がここにいるんだなぁと気づきました。
声の多くは木の上の方から聞こえてきました。
ボルネオ島の生態系の多くは樹幹と呼ばれる木の上に広がっていて、飛ぶカエルや飛ぶ蛇などもいて、豊かな生き物同士の営みが繰り広げられているのです。
熱帯林は地上の6%ほどと言われていますが、地球上の生物種の80%以上がいると言う学者もいるほど、生き物の種類が多いのです。
ボルネオ島の森を100メートル四方ほど歩けば、ヨーロッパ全土の昆虫や木の種類より多い種が存在するとさえ言われています。
まさに生物多様性の宝庫なのです。

ボルネオ島の森を歩いた次の日に、大きな川の対岸へ行き、そこから1キロほど歩きました。
最初は同じような森が広がっていったのですが、ふと前を見ると全く違う光景が広がっていました。
そこは一見緑に見えるものの、全て同じ種類のヤシが植わっていて、動物の声は聞こえませんでした。虫の声も鳥の声も聞こえません。
そのヤシはアブラヤシと言う植物で、そこからパーム油と言う油が取れることを聞きました。
何時間進んでもアブラヤシしかない空間。
動物の姿は全く見えません。
しかし、そこにはかつて貴重な大きな木もあり、オランウータンもたくさんいたのだそうです。
そしてパーム油は、ポテトチップスやインスタント麺、マーガリン、アイスクリーム、チョコレート、石鹸、洗剤、化粧品などたくさんの身近な商品に使われていることを聞きました。
自分もコンビニやドラッグストアなどでたくさん買っていることに気づいてとてもショックを受けました。
パーム油は世界で一番多く生産され、消費されている油で、東南アジアの熱帯林破壊の最大の原因になっていたのです。
そして、熱帯林に生きるたくさんの哺乳類、鳥、虫、トカゲやカエル、貴重な植物の命を奪い、森とともに暮らしてきた先住民の生活も奪っていたのです。

オランウータンは、マレー語で森の人という意味ですが、DNAが96 %人間と同じだそうです。
パーム油などの開発によって、オランウータンの多くは絶滅の危機にあります。
人間と最も近い動物が絶滅してしまったら、私たち人類はどこへ向かってしまうのでしょうか?
森の自然と共に暮らしている先住民は、世界各地にいます。
先住民もまた、多国籍企業の開発などによって森が失われてしまうことで、生きる場所を奪われています。
産業が発達してからの私たち現代人の暮らしはほんの200年位ですが、人類は20万年以上昔から自然と共に暮らしてきました。
太古からの知恵を引き継ぐ先住民の暮らしが失われてしまったら、私たち人類はどうやって生き延びるのでしょうか?

ウータンは、インドネシアの先住民や地域住民を主体とした村人グループやNGOとともに、古くから伝わる伝統知を生かした森林再生を進めています。
森の中から芽吹いた種を拾って苗にして植林したり、森を破壊しなくてもできる森林農法を実践したり、エコツアーで日本からの参加者を募ってホームステイをしたり、子どもたちに環境教育を行ったり、近年多発している森林火災を防止したりといった支援をしています。
また、熱帯林とともに暮らす人々を支えるために、日本で問題を伝え、仲間を増やして彼らを支援するしくみを作っています。
最近では、オランウータンの親子を題材にした紙しばいをこまねさんというボランティアの方に作っていただき、西宮市のヴィーガンフェスで、千代乃さんに読んでいただきました。
たくさんの親子がそのストーリーに感動して共感してくれ、メッセージを書いてくれました。
そして、身近な消費生活と熱帯林の破壊がつながっていることを知って、私たちも何かしたいとおっしゃってくれました。
そのような森を守りたい、自然を守りたいと言う日本の人々と東南アジアの人々、さらには世界中の人々をつないで、人と動物と地球上のすべての生きものの生活が尊重され、みんなが幸せに暮らしていける未来を作っていきたいと思い、活動を続けています。

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