見出し画像

喪失

どこで失ったかは分からない
どこかで、まるで林檎が落ちるみたいに
     "ポトン"
     と落ちた

それをみた白髪のにゅーとんは
万有引力を見つけて
それをいつか誰かが否定するんだ
そうして地球は回り
僕の落とし物は永遠に喪失する。

本当に、ものが喪失するときとは何時だろう。
人は2回死ぬと交通事故にあったあの子が言っていた
2度目の死は人に忘れられたら訪れる
きっと三度目の死は人に思い出されたときなのかもしれない。だってまた忘れられるんだから

だとするならば、僕の落とし物は万有引力となり、いつか古典力学となり、そして相対性理論となるなら、僕の落とし物は永遠に生き続けるのだろうか

きっとそんなことはない、人は2度も死なない。輪廻転生したとしてもそれは他人だ。記憶なんてただの電気信号だ。人は死ねばもう喋らないし、動かない。あったという証の骨を人工的に切崩された石桶に入れられるだけで、いつか自然に帰らねばならぬ僕たちには一度の死で十分だ。

なのに、それなのに、僕には幾度も失望が、喪失が訪れる。死は一度なのに。

                       「それは僕が生きている証」
君がそういったんだろ??


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?