見出し画像

雨通り

 雨を見聞きするのに、
 一点の光も必要ではない、
 此の雨通りの良い部屋の、
 何処に燭台が在るのだろう。

 此の薄闇の建物の水面を打つ、
 幾つもの時を、
 〈想起=オルガン〉に注ぎ、
 其の即興を〈織り=折り〉祈るのみ。

 夢想の中には屋根は無く、
 有り余る時が打ち付ける痛みが、
 囀り続けて、

 雨が入るなり、
 一時も待たずに消えて行く、
 私達の枕の下へ。


宜しければサポートお願いします。