先日、平地でも一面に雪が降った。
そのせいかはわからないが、その日は一日不思議な気分だった。
雪の降る速度と同じような感じですべての物事を受け止めることができて、気持ちがアップでもダウンでもなく、落ち着いていて、それはneutralでcalmといった感じで、とても珍しかったのだが、次の日になってみればそれは雪同様に跡形もなく消えてしまった。
あれは何だったのだろう。
あのような日がまたあればいいと思う。

雪を眺めていると、時間がゆっくりになるような気がする。
この速度感覚が、好きな詩や文を読んでいるときと同じだな、とふと思った。

ある方の詩や文がとても好きなのだが、そのことばたちも、雪のように降ってくる。時間がゆっくりになる。
正しく理解できるとか共感できるとかそういった枠組みに入るものでなくて、ことばの纏う雰囲気や間、流れやそれが入り込んでくる速度が、雪みたいに感じられて、読んでいると降る雪を眺めているような気分になって、それが心地よいという、そういう「好き」。
わかるということではなくても、分析して理由を求めなくても、好きであることはできる。逆にまた、好きである理由は、わかる、でなくてもいい。そんなことを思う。

読むときの感覚が雪を眺めるのと同じになるような、自然と静けさを持っているそのような詩文に憧れる。自分もそういうものを書きたいなと思う。ずっと眺めたいような、降りたての雪のように純で、雪降る速度で読まれるような、そういうもの。
それはとてもとても、難しいことだけれども。

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というようなことを最近思っていたら、今日また雪が降った。
職場では消耗するトラブルも降ってきたが、雪を見つめて気を落ち着かせる。
鎮静剤みたいだな、と思う。
音も、波も、消えていく。白。

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