心紋に触れる

作風というか、文体というか。その人らしさというか。いつものその人というか。っぽさ、というか。口調というか、癖というか、風味というか。雰囲気というか、気配というか。色というか。

長期間フォローしている人の書いた詩やエッセイや日記などを読んでいると、なんかこう、やっぱりその人のだなと分かって、変わらないものがあるような気がしてくる。

書く方はどうしたってそうなってしまって、無意識でやめようにもできない、読んだ方はけして真似できない、たちのぼるかおりのような、そういうかんじの。

うまく言えないけれども、そういうかんじの固有のそれが、みんなあって、とても好きだ。今日もその人が確かに存在するのだと安心する。なんの気無しに発している中にその人のコアのかけらのようなものが垣間見えてまたよい。

個性と言ってしまうとだいぶ粗い表現に思えてしまうので、もうちょっとばしっとくる言い方はないものかとずっと思っているのだけれども、どちらかというと指紋とか声紋とかそういうのに近いものかもしれない。いつも違うことを書き、いつも違うことばを使うのにその人だとわかる、文字と行間にまとわれるそれ。心紋とでも言おうか、それがすなわち、ゴースト、か。

そこにその人がいないものをあまり読む気になれないし、あまり惹かれない。
そこにその人がいるものを読めると、嬉しい。
私が詩が好きなのは、そのためでもある。詩はその人のこころの結晶であり、ほんとうを練り上げた金平糖のようなものだから。

なんていうのを、つらつらと思う。
最近ちょっとずつ食べる気力も読む気力も出てきたので、ちょっとずつまた読んでいこうと思っている。

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