たとえ話

※昨年書いて、アップするタイミングを失ったまま下書きに残していたものだけれど、読み返して今もやっぱりそのとおりだなと思えるので、今更ながらアップする。

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大学運営というのは、たとえると形様々大きさ様々な風船を束ねようとするみたいなものだな、と時々思う。

風船プールを歩いたことがあればわかると思うが、少し動くだけで風船がボンボン弾んで、急いで掴もうとすればするほど遠くへ行ってしまう。あんな感じ。
いっぺんに何個も持とうとすると、風船同士が押し当てられてぶつかってぶわっと弾けて持てなくなる。
みんなに権限が等しくあって、みんなにそれぞれの譲れない思いがあって、みんな主張して歩み寄ろうとしないからそうなる。

一つ一つに時間をかけて丁寧に慎重に紐をつけて、ようやくまとめる目処がつく。
それでもまだ束ねるとまでは行かず、紐をつけた風船を集めて持っていてもらったはずの人が、ぱっと手を離してどこかへ行ってしまう、なんてこともよくあって、そうなると風船があっという間にバラけて、また拾い直しかよ、みたいになったりだとか。
集めようと努力している傍らで結構な数がふわ〜っと何処かへ飛んでいってしまったり、圧がかかりすぎた風船が割れてしまったり、つけていたはずの紐がほどけたり、複数の風船が知らぬ間にぶつかり合っていたり、そんなのもあって。

だから、どうしてもみんなでなるべく納得するように一つの方向に収束させよう、何かを決めよう、となったら、そうとうな根気と時間と執念深さが必要になるのだ。自然と結束するなんてことはないから。

ここでトップダウンで上から圧をかけると、破裂や反発が激しくなるだけであるし、なんというか、一気にぱっと吸い付いてまとまる、静電気みたいな魔法じみた何かがあるといいのになぁ、なんてことを空想する。
せめて風船の種類が全部おなじだったらまとまりやすいのになぁなんて思ったり。
実際はもちろんそうではなくて、大きさも形もばらばらで、向かう方向は一つじゃなくて、ほんとうに好き好きで、外からの風が吹いたりしてまた風船はばらけるのだけど。

そんなことの、繰り返し。

そのうち、徹底する、浸透させる、ちゃんとやる、統率する、意見を一つにまとめる、なんてことは、夢物語だと気づく。もうなんとなく囲ったところに収まっていればいいや、という風になってくる。束ねるのは諦めて、そのまま大きい箱の中に入れよう、くらいに、どんどん期待値は下がっていく。そうして最初に意図した方向とは違う方向に物事が進んだりする。
それで羊みたいな職員は右往左往し、一部の教職員が、病みそうになりながらなんとか辻褄を合わせる。

大学のまとまらなさや、ぎりぎりなんとか体面を保っている状況というのは、そんな感じ。

そんな感じです。

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