同僚N

同僚Nは、たいへんに育ちがよく心の優しい人である。

育ちが良いとはどういうことか。私の中での定義は、人の悪意や醜い感情にさらされることのなかった人のことである。
基本的に人を疑わず、ぞんざいに扱われることに慣れておらず、まっとうな考えを持つ人がスタンダードだと信じている。

綺麗なこころだな、と思う。

だが同時に、繊細なガラス細工のようで、簡単に曇ったり壊れたりしてしまいそうで怖くも思う。

この間も、Nは教員の機嫌を損ねたことを気に病み、己の至らなかった点を探し出そうとし、気にしないでいることができない自分の性格を嘆いていた。

私からすれば教員のただの幼稚な八つ当たりで、執念深さがべき乗されて、ほんとうにまぁ、ドンマイ、不運だったねとしか言いようのない、ただそれだけの事なのだけど。

何も強化ガラスになることはない。ただ被弾しないことが大事だ。

言うは易しか。

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