NHK交響楽団第2006回定期公演

去る2月14日(水)、15日(木)にサントリーホールにおいてNHK交響楽団の第2006回定期公演が行われ、第1日目の模様が2月24日(土)にNHK FMで放送されました。

今回は、前半にラヴェルのスペイン狂詩曲とプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番、後半にファリャのバレエ音楽『三角帽子』の全曲が演奏されました。ヴァイオリン独奏はアウグスティン・ハーデリヒ、ソプラノ独唱は吉田珠代、指揮はパブロ・エラス=カサドでした。

2023年のバイロイト音楽祭で『パルジファル』を指揮するなど進境著しいエラス=カサドの充実ぶりがよく示された今回の定期公演は、ファリャの『三角帽子』の彩りが豊かで起伏に富む仕上がりが何よりも印象深いものでした。

NHK響と『三角帽子』といえば、1994年9月の第1238回におけるピンカス・スタインバーグの指揮による第2部の演奏が行儀のよさの中に笑窪を浮かべた、よく整えられた内容になっていました。

一方、この日は解放感に溢れ、決して暗くなり過ぎず、しかも放埓さに傾斜することもない、均整の取れた演奏は聞き手の注意を集めて逸らさないものでした。

このような演奏に吉田珠代の伸びやかなソプラノ独唱が加わることで、より一層伸びやかで陰影に富んだファリャとなりました。

これに対し、前半のプロコフィエフはハーデリヒの正確さと、時に姿を見せる遊び心に満ちた旋律の揺らぎが魅力的で、伴奏が独奏によく追いつき、作品の輪郭を明瞭に描き出しました。

そして第1曲目のラヴェルは他の2曲に比べれば落ち着いた雰囲気をまとっていたものの、これもプロコフィエフとファリャの劇的な内容を考えればむべなるかなというもので、それだけよく練り上げられた公演であったと言えるでしょう。

<Executive Summary>
The NHK Symphony Orchestra the 2006th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 2006th Subscription Concert at the Suntory Hall on 14th and 15th February 2024 and the first day was broadcast via NHK FM on 24th February 2024. In this time, they performed Ravel's Spanish Rhapsody, Prokofiev's Violin Concerto No. 2, and Falla's The Three-Cornered Hat. Solo violin was Augustin Hadelich and solo sporano was Tamayo Yoshida. Conductor was Pablo Heras-Casado.

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