NHK FM『バイロイト音楽祭2021』について思ったいくつかのこと

去る12月13日(月)、14日(火)、16日(木)、17日(金)の4日間にわたり、NHK FMでは『バイロイト音楽祭2021』が放送されました。

NHK FMでは毎年歳末の恒例としてその年のバイロイト音楽祭の実況録音を放送しています。

2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により音楽祭が中止となったため、2年ぶりに開催された今回は歌劇『さまよえるオランダ人』、楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』、歌劇『タンホイザー』、楽劇『ワルキューレ』が上演されました。

バイロイト初登場となったアスミク・グリゴリアンの情感豊かな歌唱と指揮のオクサーナ・リーニフの躍動的な音楽作りが印象的であった『オランダ人』、幕が進むごとに艶やかさを増したミヒャエル・フォレのハンス・ザックスと最後まで音楽を弛緩させなかったフィリップ・ジョルダンの手腕が際立った『マイスタージンガー』、リーゼ・ダヴィッドセンの演じるエリーザベトの存在感の高さが傑出し、最後の一音までゆるがせにしなかったアクセル・コーバーの指揮も魅力的であった『タンホイザー』、そしてブリュンヒルデを演じたイレーネ・テオリンの存在感が高く、バイロイト初登場のピエタリ・インキネンが演奏会形式での上演を手堅くまとめ上げた、聞きごたえのある『ワルキューレ』と、いずれも充実した内容でした。

感染症対策に万全を期しつつ公演を行うということは、「コロナ以前」に比べて種々の制約が生じたことを意味します。

その様な中でこれまでの公演に勝るとも劣らぬ歌唱と演奏が披露されたのですから、出演者たちの労苦はいかばかりであったかと思われるとともに、新しい形のバイロイト音楽祭の様子を耳に出来たことの意義が実感された、4回の放送でした。

<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions of NHK FM's Programme "The Bayreuth Festival 2021" (Yusuke Suzumura)

The NHK FM broadcasted a featured programme "The Bayreuth Festival 2021" on 13th, 14th, 16th and 17th December 2021. In this occasion I express my miscellaneous impressions of the programme and performances.


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