各党は参院選の選挙戦をいかにして活性化できるか

7月に入り、7月10日(日)の第26回参議院議員通常選挙の投開票日が近づいてきました。

総選挙とは異なり政権の選択には直接つながらない第二院の選挙とはいえ、燃料や原材料の高騰を受けた急速な物価の上昇や円安の進展などわれわれの生活に直結する問題は山積していますし、国際情勢もロシアによるウクライナへの侵攻に始まる既存の秩序の動揺や物価騰貴の亢進など、解決すべき課題は少なくありません。

それだけに、各党がこうした問題に対して具体的な施策を示しながら有権者に自党への支持を訴えているかと言えば、実情は異なります。

むしろ、日本の進路がいかにあるべきか、あるいはどのような国の形が求められるかといった理念が提示されず、一方が物価の抑制や憲法の条文の変更を主張すれば他方が消費税の減税や憲法問題に関する議論の先送りを唱えるなど、各党の争点が一致しないと言えるでしょう。

これでは、選挙戦が活性化されることは期待できませんし、有権者が今回の参院選に関心を持つことも難しくならざるを得ません。

そして、こうした状況は、2019年7月の参院選や2021年10月の総選挙でも明らかになったように、実現するための方法が不明であるだけでなく実現のための意欲も定かではないものの、極端な意見を主張する新興政党への支持を高めかねません。

もとより国会議員は国民各層の代表者ですから、極端な意見を主張する政党や候補者であるとしても選挙によって選ばれればその正当性には何らの疑問もありません。

しかし、こうした現象が既存政党に対する有権者の不信感や失望の表れであるとするなら、事態を看過することは究極的には日本における議会政治の根幹を揺るがすことになりかねません。

それだけに、与野党を問わず、既存の大政党に求められるのは、争点の一致しない主張を行い続けるのではなく、日本の姿に対する理念を示しつつ具体的な課題に対する解決策を提示する真摯な態度であると言えるでしょう。

<Executive Summary>
What Is an Important Attitude for the Political Parties for the House of Councilors Election 2022? (Yusuke Suzumura)

The House of Councilors Election 2022 will be held on 10th July 2022. In this occasion we examine an important attitude for existing and traditional political parties to realise a meaningful campaign.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?