「サトシとピカチュウのポケモン」の終わりに際して思ったいくつかのこと

昨日、テレビ東京のアニメ『ポケットモンスター めざせポケモンマスター』が最終回を迎え、サトシ君とピカチュウの物語は26年の歴史に幕を下ろしました。

日本国内では幅広い年齢層から支持され、世界120か国以上でも放送される人気番組が終了するのは視聴者にとって残念なことです。それとともに、新しい登場人物による新たな物語を始めることは「ポケモン」の価値そのものを新たに作り出そうとする制作者の強い意図を伝えるものです。

サトシ君とピカチュウによる「ポケモン」の連作は私にとっても馴染み深いものです。また、各国からの留学生の多くがポケモンに親しんでおり、ピカチュウやゼニガメ、フシギダネなどの形態模写を行うことで教室の雰囲気が和やかになり、しばしの間ポケモンの話題に興じることもありました。

ところで、ポケモンに関する書籍の中で最も興味深いのは、ポケモンビジネス研究会の『ポケモンの秘密』(小学館、1998年)です。本書で取り上げらている「ポケモンが人間の言葉を話さない理由」を読んだ後に『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』(2017ねん)を鑑賞すると、感慨もひとしおでありました。

また、ゲームボーイ版の『ポケットモンスター』で最初に登場するポケモンではなかったピカチュウが何故テレビアニメ版の『ポケットモンスター』で主人公のサトシ君が最初に選んだポケモンとなったのか、さらには、何故テレビアニメ版の『ポケットモンスター』ではニャース以外のポケモンが人間の言葉を話さないのか、といった基本的な事項を巡る話題などは今も興味深いものです。

1997年12月のいわゆる「ポケモンショック」を経て社会的な認知度が高まっただけでなく、テレビ番組の制作のあり方にも大きな変化をもたらしたサトシ君とピカチュウの物語は終わりを迎えても、ポケモンはこれからも世界を巡り続けます。

日本のテレビアニメ史上屈指の存在感を築き上げるとともにテレビアニメの可能性を広げたたサトシ君とピカチュウのこれまでの活躍に感謝し、新たに始まる物語でどのような新たな冒険と出会いが待ち受けているのか、これからもテレビアニメ版『ポケットモンスター』に大いに注目したいと思います。

<Executive Summary>
See You Again Soon, Satoshi and Pikachu! (Yusuke Suzumura)

A TV animation seriers "Pocket Monsters" starting by Satoshi and Pikachu ended on 24th March 2023. On this occasion, I remember some episodes and impressions of the 26-year programme to celebrate its efforts and achievements to develop the possibility of Japanese animation.

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