本日、元広島東洋カープの投手で2012年に野球殿堂入りした北別府学さんが逝去されました。享年65歳でした。

宮崎県立都城農業高等学校から1975年にカープに入団した北別府さんが、1978年から11シーズン連続で2桁勝利を記録し、最優秀選手1回、沢村賞2回、最多勝2回、最優秀防御率1回を記録した、球界を代表する名投手であることは広く知られる通りです。

また、19年間で球団最多の213勝を記録したことは、優れた制球力と相俟って、1980年代半ばからの「強いカープ」の原動力となった充実の投手陣の中心としての北別府さんの活躍の大きさを物語ります。

私が初めて北別府さんの投球に注目したのは1984年の日本シリーズでした。

阪急ブレーブスとの間で行われたこの年の日本シリーズは4勝3敗でカープが日本一となります。その第5戦にシリーズ2度目の先発を果たしたのが北別府さんでした。

この日は金曜日で、小学校2年生だった私は職員室の奥に置かれたテレビが日本シリーズを中継する様子と、画面の中で躍動感あふれる投球をする北別府さんの姿を目にし、その勝利を願ったのでした。

残念ながら日本シリーズ第5戦はブレーブスが勝利し、北別府さんが敗戦投手となったものの、当時校舎の建て替えのためにプレハブ校舎にあった職員室のどことなく明るい様子と、学校で野球の試合を見られるという思いがけない取り合わせは、今でも日本シリーズが来るたびに思い出される光景の一つとなっています。

その後、北別府さんに直接お話を伺う機会を頂戴した際には、「その話題には詳しくないけれど」と前置きをされてうえで、こちらの質問に丁寧に、そして的確に回答され、真摯な対応には感謝するばかりでした。

近年は体調がすぐれないというお話を耳にしていたものの、薬石功なく長逝されたことは、返す返すも悔やまれるものです。

改めてご冥福をお祈り申し上げます。

<Executive Summary>
Miscellaneous Memories of Mr. Manabu Kitabeppu (Yusuke Suzumura)

Mr. Manabu Kitabeppu, a Former Pitcher for the Hiroshima Toyo Carp and a Hall of Famer, had passed away at the age of 65 on 16th June 2023. On this occasion, I remember miscellaneous memories of Mr. Kitabeppu.