『クラシック音楽館』の特集「革命の作曲家 ベートーベン」が再び視聴者に提供した重要な機会

昨日は、21時から23時までNHK教育テレビで『クラシック音楽館』を視聴しました。

今回は、9月20日(日)に続いて、「ベートーベン特集 」の第2回目で、「革命の作曲家 ベートーベン」と題し、稲垣吾郎さんの進行により、指揮者で楽譜の研究家としても定評のある高関健さんを迎えて行われました。

この日紹介された作品と演奏の詳細は以下の通りでした。

(1)ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第31番第1楽章(演奏:河村尚子、会場:紀尾井ホール、演奏日:2019年11月13日[水])
(2)ベートーヴェン/交響曲第6番「田園」(指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット、管弦楽:バンベルク交響楽団、会場:愛知県芸術劇場コンサートホール、演奏日:2016年11月1日[火])
(3)ベートーヴェン/交響曲第5番「運命」(指揮:パーヴォ・ヤルヴィ、管弦楽:ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団、会場:NHKホール、演奏日:2010年11月25日[木])
(4)ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番「皇帝」(指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット、ピアノ独奏:ルドルフ・ブフビンダー、管弦楽:NHK交響楽団、会場:NHKホール、演奏日:2010年4月16日[金])

また、高関さんはベートーヴェンの「革命」として挙げた、「ジャジャジャジャーンだけで作曲」、「感情を音楽で表現」、「楽章をつなげる」の3点は、番組全体を貫く核として大きな役割を果たしました。

取り上げられた実況映像は、抒情性に富むピアノ・ソナタ、若々しい伸びやかさが印象的な交響曲第6番、装飾性を可能な限り取り除いた交響曲第5番、そして人間味あふれるピアノ協奏曲と、それぞれ特徴的な内容でした。

それぞれの作品は高関さんの分析と解説を受けて放送されたため、交響管弦楽に馴染みのない視聴者にとっては作品を理解するために有益な情報が提供されており、各曲を知悉する人にとっても改めて曲を俯瞰できたと言えるでしょう。

ところで、番組の見どころの一つは稲垣吾郎さんが東京フィルハーモニー交響楽団を指揮してベートーヴェンの交響曲第5番第1楽章の冒頭を指揮する場面でした。

「8分休符を意識するように」という高関さんの指導の明快さと、その指導に順応する稲垣さんの感性のしなやかさと適応力の確かさは印象的なものでした。

さらに、「指揮者」としての稲垣吾郎さんは打点が明瞭なので、棒の構え方と重心の位置に気を付ければ、例えば実際の演技においても、より自然で「指揮者らしい指揮者」の姿になると思われました。

今回も、前回以上に視聴者がベートーヴェンの作品に親しむための重要な機会が提供されました。

それだけに、次回の「ベートーベン特集」も期待される、この日の放送でした。

<Executive Summary>
A TV Programme "Classical Music Hall" Offered an Important Opportunity to Expand the Range of Audiences (II) (Yusuke Suzumura)

A TV programme Classical Music Hall broadcasted by NHK Educational featured performances and dialogues among Mr. Goro Inagaki and Mr. Ken Takaseki on 18th October 2020. It has a remarkable challenge for the programme to expand the range of audiences.

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