東横線渋谷駅の地下化10年目に際して改めて事業者に「利用者の忍苦によって成り立つ再開発」への自覚を求める

本日、2013年3月16日(土)に東急東横線渋谷駅が地下に移設され、東京地下鉄副都心線との相互直通運転を開始してから満10年が経ちました。

いわゆる渋谷再開発について、現在の渋谷地域が平面的な移動については工夫が施されているものの、垂直的な移動の点に弱味があること、あるいは利用者の不便の上に進められる再開発事業が結果的に渋谷という地域の魅力を低下させることは、すでに本欄の指摘するところです[1]。

ところで、渋谷再開発の重要な問題の一つは、駅そのものの移設や増改築に伴って様々な建築物が作られているという点に求められます。

人口の減少によって鉄道利用者そのものが減少するため、駅に付加価値を与えるという点からも様々な施設を建築することは、鉄道事業者にとって経営上重要な措置となります。

その一方で、渋谷駅を日常的に利用する人々の多くにとって、こうした施設は附随物であって日々の生活には直接関係しないものであることも明らかです。

ここに、駅という公共的な空間が利用者の日常生活には直接かかわらない附随物のために長期間にわたって工事現場となり、不便な状態を強いられるという矛盾が生じます。

将来の利便性のために今は不便さを耐え忍ぶという考えもあるであろうものの、長期間の不便を正当化することにはなりません。

その意味でも、こうした大型再開発は一人ひとりの忍苦の上に成り立っていることについて、事業者は常に自覚的であることが求められるのです。

[1]鈴村裕輔, 東横線渋谷駅の地下化9年目に際して「渋谷再開発」の持つ「根本的な問題」を考える. 2022年3月16日, https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/view/76353/864d7f03c83f930106a50299b219bc5e?frame_id=435622 (2023年3月16日閲覧).

<Executive Summary>
New Shibuya Station Shall Be Improved Its Functions and Facilities (10) (Yusuke Suzumura)

The 16th March 2023 is the 10th anniversary of the opening of new Shibuya Station of the Tokyu Toyoko Line. In the Occasion we demand again that Tokyu Corporation and other companies shall improve functions and facilities of Shibuya Station and surrounding area.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?