「ブロムシュテットの三大交響曲×2」を聴取して思ったいくつかのこと

去る6月6日(土)、13日(土)、20日(土)の3回にわたり、NHK FMの番組『N響ザ・レジェンド』で、「ブロムシュテットの三大交響曲×2」が放送されました。

これは、2019年10月19日(土)、26日(土)、11月2日(土)の番組の再放送で、ヘルベルト・ブロムシュテットがNHK交響楽団の第1786-1788回定期公演の模様を伝えるものでした。

私は6月13日の回で取り上げられた第1787回定期公演の第1日目を会場であるNHKホールで鑑賞しており、以下のように寸評しています[1]。

前半にモーツァルトの交響曲第40番、後半にチャイコフスキーの交響曲第5番を取り上げたこの日の公演は、各声部の輪郭を明瞭に描き出すことで純朴ながら味わい深い演奏に仕上がったモーツァルトと、NHK響が「音の大きい楽団」であることを久しぶりに思い出す躍動感に満ちたチャイコフスキーと、いずれも聞きごたえのある演奏であった。

6年の歳月を経て、会場とラジオ放送と異なる媒体で聞く演奏ではあったものの、私の受けた印象はほとんど変わらないものでした。

これは、一面において私の鑑賞する能力が何らかの進歩や発展を遂げていないことを示唆するとともに、他面においてはブロムシュテットの作り出す音楽が時流におもねることなく、確立された様式に基づいているために経時的な変化を示さないことを推察させます。

いずれが真実であるかはさておき、今回のように会場で直接耳にした演奏に放送を通して接することは、なかなか興趣の尽きないものではありました。

[1]鈴村裕輔, NHK交響楽団第1788回定期公演. 2014年9月20日, https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/view/76353/6b51af098c568553c8f9e0094702539a?frame_id=435622 (2020年6月26日閲覧).

<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions of "Blomstedt's Three Great Symphonies" (Yusuke Suzumura)

A radio program of the NHK-FM entitled with "NHK Symphony Orchestra the Legend" broadcasted performances of Herbert Blomstedt and the NHK Symphony Orchestra three times on 6th, 13th and 20th June 2020. The title of programs was "Blomstedt Conducts Three Great Symphonies x 2".

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