第64回NHKニューイヤーオペラコンサートについて思ったいくつかのこと

昨日は、19時から21時まで、NHK FMで第64回NHKニューイヤーオペラコンサートの実況中継を鑑賞しました。

出演者は、ソプラノが伊藤晴、大村博美、幸田浩子、砂川涼子、田崎尚美、中村恵理、森麻季、森谷真理、メゾ・ソプラノが林美智子、テノールが笛田博昭、福井敬、宮里直樹、村上敏明、望月哲也、バリトンが上江隼人、バスが妻屋秀和、ピアノが反田恭平で、合唱が新国立劇場合唱団、二期会合唱団、藤原歌劇団合唱部、管弦楽が東京フィルハーモニー交響楽団、指揮者が広上淳一でした。

今回は、プッチーニの歌劇『トゥーランドット』から「誰も寝てはならぬ」やワーグナーの歌劇『タンホイザー』から「ふるさとよ、また見る野山」」、さらに反田のピアノ独奏によるシューマンの『献呈』など、23曲が取り上げられました。

この日の歌唱と演奏の中ではバスの妻屋秀和がハンス・ザックスを担当した、ワーグナーの楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』から「親方たちをさげすんではならぬ」が圧巻で、泰然として澱みない妻屋のザックスは聞き映えのする内容となっていました。

ところで、声楽界の第一線で活躍する歌手たちが一堂に会し、人口に膾炙された作品から普段は見逃されがちな作品までを幅広く披露するNHKニューイヤーオペラコンサートは、1年の始まりを飾るにふさわしい演奏会です。

また、歌劇や歌曲そのものの普及や認知の度合いが決して高くないという現状に鑑みれば、音声や映像を通してこのような形で気軽に作品に接する機会が提供されることは重要です。

何より、新型コロナウイルス感染症の感染拡大という状況の中で、会場のNHKホールの入場者数を制限するなどの措置を講じながら毎年恒例の催事の挙行を実現したことは、意義深いと言えます。

それだけに、開催に向けた関係者の努力のありがたさが改めて実感された、今回のニューイヤーオペラコンサートでした。

<Executive Summary>
The 64th NHK New Year Opera Concert (Yusuke Suzumura)

The 64th NHK New Year Opera Concert was held at the NHK Hall on 3rd January 2021. In this time 23 pieces were performed, and orchestra was the Tokyo Philharmonic Orchestra and conductor was Junichi Hirokami.

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