「習近平政権による第3の歴史決議採択」はいかなる意味を持つか

昨日、中国共産党が開いた第19期中央委員会第6回全体会議が閉幕し、「中共中央关于党的百年奋斗重大成就和历史经验的决议」、すなわち「中共中央の百年にわたる奮闘の重大な成果と歴史経験に関する決議」が採択されました[1]。

1945年、1981年に続く今回の「歴史決議」により、習近平国家主席が過去2回の「歴史決議」を採択した毛沢東、鄧小平と並ぶ権威を確立するとともに、来秋に開催される予定の党大会で3期目の就任を確実にしたことが推察されます[1]。

概要のみの公表に留まるとはいえ、それ以前の時代を否定することで自らの統治と政策の正当性を強調した過去2回の「歴史決議」に対し、過去の政権の事績を評価するとされる今回の決議[1]は、それだけ習政権の基盤が強固であることを示します。

ところで、中国共産党は今年で結党100周年を迎え、中華人民共和国も1949年の建国から今年で72年となりました。

結党から28年で政権を獲得したことは、1616年に女真族の首長ヌルハチが後金を建国し、1644年に明の崇禎帝が北京の紫禁城にある景山で自ら命を絶って王朝が滅ぶまでの期間と同じです。

また、建国から72年という年月は、中国の歴代王朝では五代十国の呉越の71年間を超えるものの、秦、晋、隋を除く過去の統一王朝に比べれば現在の共産党政権は「長期政権」とは言えないでしょう。


もとより、歴代の王朝と現在の共産党政権を安易に比較することは出来ません。

それでも、今は盤石に見える習近平政権が新たな「歴史決議」を行うことは、それだけこれまでの諸王朝の盛衰に学び、少しでも長く政権の命脈を保とうとする態度の表れを秘めていると言えるかも知れません。

[1]中国、第3の歴史決議採択. 日本経済新聞, 2021年11月12日朝刊1面.

<Executive Summary>
Does President Xi Jinping Study the Past History of Chinese Dynasties? (Yusuke Suzumura)

President Xi Jinping of the People's Republic of China issued a New Official Summation of Communist Party History on 11th November 2021. By this event President Xi becomes the third leader to issue a "Historical Resolution" after Mao Zedong and Deng Xiaoping.

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