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猫たちのそれから。

およそ1ヶ月前、とつぜん子猫がやってきたことについて書いた。

そして里親トライアル期間のうちに、なぜかもう1匹やってきたことについても書いた。

この2本のあいだに書いたエントリのとおり、我が家には6歳になったばかりの先住猫が2匹いる。

2匹だけで過ごしてきた平穏な6年間。そこにわんぱく盛りのチビが割り込んできた。しかも、わがもの顔で自分たちの生活空間で遊びまわっている。飼い主たちもそのチビたちにとられた。先住猫たちにとっては、きっととてもとても大きなストレスだろう

そりゃあそうだ。人間社会に置き換えてみればよい。

突然、経営者がかわって方針転換。しかもそれまでの企業文化や創業者のマインドを理解しない辣腕経営者だったりしたら、病んだり退職したりする従業員が続出するというのは、よく聞く話だ。

あ、この例えだと飼い主がかわった場合か。方針転換で大量に未経験者を雇用して現場が混乱する職場のケースのほうが近いだろうか。

いずれにせよ、先住猫たちの気持ちは、この職場環境が急変した企業の従業員みたいなものだったかもしれない。とにかく先住猫”みゅー”と”もか”にとっては、急に居心地が悪くなっておもしろくない。災難のような感覚だろう。

先住猫たちについてのnoteで、わたしは以下のように書いていた。

新入りの子猫と”みゅー”は、だいぶ距離が縮んできた。”もか”はまだあまり近寄ろうとはしないけれども、無関心なわけではなさそうだ。はたしてうまくやっていけるだろうか。妻の思惑どおり、猫たちの関係性に変化があらわれるだろうか。

じつはその”みゅー”が体調をくずした。元気印の”みゅー”が。ある朝、様子がおかしい。ベッドの下でうずくまって出てこない。動きも非常にゆっくり。もしかして夜中にどこかから落ちたりして怪我でもしたのかしらん、と思った。

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どうも下半身が動いていない。腰砕けの状態で、いつもひとっとびの階段の1段が越せない。写真ではわからないかもしれないけれど、腰に力がはいっていない。手前のダンボール箱は”みゅー”の移動用に置いたもの。

”もか”のほうはこれまでも、尿路結石症をわずらってフードを療養食にきりかえたりしていた。多頭飼育なので、完全療養食の実現はむつかしいのだけど、なんとかやってきた。体格の良い”みゅー”はそのようなこともなく、健康そのものだった。

よく、猫にエビなどの甲殻類をあたえてはいけないと聞く。イカや生魚でもおなじ。ビタミンB1が欠乏して脚気のような症状が出るという。以下、フロントラインさんのウェブサイトより引用。

生のイカや貝などの魚介類や、カニ、エビなどの甲殻類はビタミンB1を分解する酵素を持っているため、猫に与えると体内のビタミンB1が欠乏して後脚の麻痺を引き起こします。魚介類は必す加熱調理をして与えるようにしましよう。

このことを知っていたから、もしかして我が家の水槽で飼っているメダカとヤマトヌマエビでも食べてしまったかと思った。事実、このところメダカも減っているし、ヌマエビの姿も見ていない。どこに行った?! しかし真相はわからない(それはそれで問題のような気がする)。

ほんとうは動物病院で診てもらいたいところだったけど、病院に連れてゆくだけでさらにおおきなストレスになるのはあきらかだ。採尿できたので、まずは尿検査だけしてもらった。

・・・

結石がたくさんできているとのこと。ペットフードに無頓着だったのが災いしたか。フードも”みゅー”の好みに合わせてドライタイプばかり。水分不足だったかもしれない。尿は本来やや酸性よりでなくてはならない。”みゅー”の尿のpHは7.0(中性)だったらしい。

ちなみにヒトにできる結石(たぶん猫のものもおなじ)は、ストルバイトというリン酸塩鉱物。アルカリ性の環境で晶出し、酸性環境では容易に溶解する。変動しがちな尿の酸性度なので誤差の範囲のような気もするけど、獣医さんの経験による見立てもあるだろうから、きっとその可能性がたかいのだろう。

しかし、ビタミンB1の欠乏についての言及はない。尿検査ではわからないのかもしれない。実際の診察はできていないのだから、ここでわからなければどうしようもない。

とにかく、結石ができていたことから尿路結石症が疑われた。尿路結石症から膀胱炎をわずらうこともあるという。うずくまって動けなくなるのには、そうした可能性もあるらしい。結石ができる原因は一様ではないものの、子猫たちがやってきたストレスの影響は少なからずある。無視するわけにはいかない。

先住猫たちについてのエントリで書いたとおり、”もか”よりも”みゅー”のほうが先に子猫に慣れてきていた様子だった。ところが最近は、”もか”のほうが子猫たちとの距離が近い。

いや、子猫には無関心といってもよいかもしれない。さいきん、子猫たちが手に負えなくなってきたこともあって、子猫たちの行動範囲を子供部屋に限定した。我が家の子供部屋は、リビングに隣接している。

そのため、もともと先住猫たちがくつろいでいたリビングが元にもどった。”もか”は、以前のように、またひとりがけソファの肘掛け部分でくつろぐようになった。たまに子猫たちが脱走して、リビングにやってくるけど、”もか”の態度にはかなり余裕がでてきた

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しかしながら、先に書いたとおり”みゅー”は最初は子猫との距離を縮めたものの、2匹目の子猫がきたあたりから寄り付かなくなっていた。

これは飼い主の感覚でしかないのだけど、”もか”よりも”みゅー”のほうが知能が高い。人間の話を聞いているとしか思えない動作をすることがあるし、やたらと人間に話しかけるように鳴く。鏡にうつった自分の姿を認識するのもできているようだ。家のそとの様子にもよく興味をもっている。

やってきた子猫にも警戒しつつも興味をもって接していたんじゃないだろうか。慣れてきたところで、子猫が増えた。元気いっぱいに遊びまわる子猫たちの足音や鳴き声がどこにいても聞こえてくる。人間たちもやたらと子猫たちの相手をしているし、自分たち先住猫は居場所を奪われた。もともと仲のよくない”もか”とも鉢合わせが増えた。

これではストレスを溜めるのは当然。知能の高い”みゅー”のことだから、ストレスにたいしても繊細で敏感だったかもしれない

このままでは先住猫たちへのストレスがおおきすぎる。子猫たちを飼うのをあきらめるべきか。子猫たちを返すとしたら、別の里親さん候補がみつかりやすいように、なるべく早いほうがよかろう。

”みゅー”の様子があきらかに悪くなってから、そうした話し合いを、わたしと妻のあいだでくり返した。

そして、妻が保護施設のNPOに電話して相談した。子猫たちを返すことを検討していることも伝えた

「子猫を隔離してはどうか。子猫はどんな環境にでもすぐに馴染むので。」これが回答だった。

いままで数多くの保護猫を譲渡してきたかたの見解だ。先住猫がいるケースでは、よく聞く話なのかもしれない。きっとおなじような相談をうけたこともあるだろう。アドバイスにしたがって、子猫たちの行動範囲を限定することにした。

それから数日。

”みゅー”は回復した。全快とまではまだ言えないけれど、ステップなしでも高いところに跳びのれるようになった。好きだった玄関先の散歩もせがむようになった。ケージのなかの子猫たちをじっと見つめるものの、威嚇はしなくなった。

なんどか家族での話し合いをした。こんどは子供たちも交えた家族会議。

先住猫の気持ちがまずは大事。おもに、妻が”みゅー”、わたしが”もか”の相手をする。子猫たちのお世話は、当面は子供たちの担当。

子猫たちの行動範囲を子供部屋に限定したのは、この家族会議の結果だ。いまのところ順調のようにみえる。”みゅー”も回復した。子猫たちにたいする先住猫の態度も軟化してきた。

今朝、妻からNPOに送ったメールで、このまま子猫たちの里親になる旨を伝えた

直前にキャンセルした2匹め譲渡の契約を今週のどこかで調整しておこなうことになった。事実上、2匹めの子猫がきてからも本来のトライアル期間の2週間が過ぎようとしている。

つぎに子猫たちについて書くnoteでは、それぞれの名前で書くことにしよう。

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