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子猫が来た!

わたしが2回目のワクチン接種をうけ、副反応の倦怠感から横になっていたときのこと。

「譲渡会の見学に行ってきます」と妻。

それは、となりの市の動物病院を会場にして実施されていた子猫の譲渡会。保護された子猫の里親をつのってマッチングさせるイベントだ。子供たちも一緒に出かけた。

このところ、妻は「夢に子猫が出てきた」「どこかに子猫おちてないかな〜」などとつぶやいていた。我が家にはもうすぐ6歳になる猫が2匹いるのだけど、そんなことはお構いなし、といった様子で。

いや、”このところ”と書いたけれど、ずっと前からいつも似たようなことを言っていた。ただ、最近その頻度があがっていたのかもしれない。数えていたわけではないので、わたしがそう感じているだけなのだけど。

我が家で2匹の猫を飼うことにしたのは、軒下で産み落とされていた野良猫の子を保護したのがきっかけ。へその緒がついたままで、眼も開いていない、まさに産まれたての子猫が2匹。2匹ともメス。ミルクをあげるところからはじめて、いまは大柄な猫にそだった。わたしの『一日一画』にもときどき登場する。

これらは現時点で、最新の猫たちのスケッチ。スケッチの枚数に偏りがあるのは、片方(もか)が夜中にわたしにまとわりつくのが習慣になっているから。猫はじっとしているようでもすぐに姿勢を変えるので、短時間スケッチのいい練習になっている。

さて、譲渡会から帰ってきた妻と子供たち。ひさしぶりに子猫に触れられて楽しかったようだ。この夏休み、どこにも出かけられなかった子供たちも、いい気分転換になったことだろう。

見てきた猫についてはもちろん、譲渡会はどんな様子だったのか、主催のNPOはどんな活動をしているのか、といったことを写真をまじえて話してくれた。アンケートに答えただけで帰ってきたという。

その夜、NPOのかたから電話があった。妻が第一希望と伝えていた子猫について、里親になることの打診だった。

第一希望?そう、アンケートには第3希望までを書いたそうだ。それは本当にアンケートなのだろうか・・・。妻は「アンケートが申し込み票になっているとは思わなかった」と言っているけど、なにか誤解があったのかもしれない。それとも確信犯?

そういうわけで、まずはトライアル期間の2週間、その子猫をあずかることになった。2週間でうまくやっていけそうなら、そのまま正式譲渡となる。子猫専用のケージが必要なので、翌日もろもろ買いそろえて、子供部屋の片隅にセッティングした。子供たちははやくも名前の候補をホワイトボードに書きだしている。

さらにその翌日。先住猫2匹のワクチンをしばらく打っていなかったので、午前中にいそいで動物病院へ。子猫が来る前にと部屋の掃除や買い物を済ませた。2匹の猫たちにとっては急に注射を打たれたり、家に戻ってもバタバタしていて、まったく落ちつかない最悪な一日だ。

お昼前にはもう子猫がやってきた。

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今年の7月6日生まれのオス。青い瞳のシャム猫ミックス。妻はもともと茶トラを希望していたのだけど、このブルーの瞳に一目惚れしたのだそうだ。

野良猫の子で、ある民家の傘立てのなかで産まれたらしい。そのお宅は猫嫌いだったそうで、NPO法人に連絡があって保護されたといういきさつを聞いた。

ほかの里親希望者はいずれも初めて猫を迎えるケースばかり。生後2ヶ月にも満たない子猫は、いつもは譲渡会には出てこない月齢らしい。NPOのかたも、未経験者に譲渡するのは不安に感じていたとの話だった。

そこで現れた、ミルクから2匹を育てあげたというツワモノ経験者(わたしの妻のこと)。こんなに理想的な里親候補はいないだろう・・・ということで、我が家に連絡があったというわけだ。

先住猫の2匹は、警戒してなかなか出てこない。いつもくつろいでいる空間に得体のしれないヤツがいる・・・ということで、調子がくるう。トイレもなかなかできず、ご飯は別のところで食べた。気になるのでちょっとずつ様子をのぞきにくるも、すぐに威嚇する。

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本来ならば、あらたに猫を迎えるには、先住猫と新入り猫の匂いのついたものでおたがいを慣れさせたりして準備する。しかしながら、今回は上述のとおりすべてが急で、まったく準備期間がなかった。

変化を嫌う猫たちにとっても、いきなり室内のレイアウトが変わって、突然ワクチン注射を打たれたのだから、それで平常心でいられるわけがない。しかもその直後に見知らぬ子猫のおでましと来た。最悪だ。

NPOのかたがたは「きっと大丈夫でしょう」と楽観的だったけど、4日目が過ぎたいまもまだ先住猫2匹は威嚇しっぱなしだ。

こうなってしまったからには仕方がない。2週間のトライアル期間のあいだに打ち解けてくれるのを待つしかない。

この子猫、いちおう我が家での名前は決まった。だけど2週間が過ぎるまでは公表しないつもり。もしうまくいかなかったら、ほかの里親さんのところでほかの名前で呼ばれることになるだろうから。

子猫くんが来てからの三日間、『一日一画』のモデルになってもらった。

猫たちを描くのはいつも楽しい。上にも書いたけど、短時間で姿勢を変える彼らを描くのは、速写のいいトレーニングになるし、ちょっとしたゲーム感覚だ。

3日目のスケッチに添えた文章にも書いているけど、写真撮影とちがって、ちょっとずつ動いたところを別々に描くと、実際にはなかったポーズになる。これはこれでとてもリアルな表現だと思う。時間にともなう変化も織り込んで、その存在を捉えているのだから。

今月の後半には、このわたしのnoteも一周年を迎える。そのときには、まだモデルをやってくれているだろうか。また進捗を報告したい。

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