見出し画像

★関節可動域制限因子の種類★

運動療法を実施するにあたって、関節可動域制限の原因を理解することは非常に重要だと思います!可動域制限因子によって、それに対するアプローチも変わってくるので、1つ1つの制限因子、エンドフィールを確認していきましょう!

①痛み

手術直後や有痛性の疾患などの痛みにより関節可動域が制限されます。無抵抗性のエンドフィールであり、患者の痛みの訴えによりそれ以上他動可動域を増すことができない場合は痛みが制限因子と考えられます。さらに可動域を増やそうとすると防御収縮を起こし痛みが増加するため、リラックスさせることが重要です。

②皮膚の癒着や可動性(伸張性)の低下

外傷による傷、手術による術創などにより皮膚の癒着や伸張性の低下が起こり、関節可動域が制限されます。エンドフィールは軟部組織伸張性であり、皮膚が突っ張った感じがします。可動域訓練時に傷周辺に痛みを訴えることがあります。特に術創部の皮膚が癒着している事が多いです。関節を介さず皮膚のストレッチ行い、伸張性を良くする事が大切です。

③関節包の癒着や短縮

関節周囲の手術や長期間の固定による関節包の癒着や短縮により関節可動域が制限されます。エンドフィールはかなり硬い軟部組織伸張性(最終域で急に硬くなる最終域感)である事が多いです。スタティックストレッチングが適応となります。

④筋・腱の短縮及び筋膜の癒着

ギプス固定、外傷、手術による筋・腱の短縮や筋膜の癒着により関節可動域が制限されます。エンドフィールは軟部組織伸張性であり、最終域に近づくにつれ徐々に抵抗が大きくなります。スタティックストレッチングやホールドアンドリラックスが適応となります。

⑤筋緊張の増加(筋スパズム)

局所的で持続的な筋緊張の亢進状態(筋スパズム)により関節可動域が制限されます。エンドフィールは筋スパズム性であり、持続的な痛みや姿勢異常(アライメント異常)により起こる事が多いです。筋の収縮(緊張)により短縮している事が多いです。軽い負荷での筋収縮の繰り返しやPNFストレッチが効果的な事が多いです。

⑥関節内運動の障害

関節の遊びや構成運動の障害により関節可動域が制限されます。多くは関節包の短縮に起因する事が多いです。エンドフィールは無抵抗性や軟部組織伸張性、筋スパズム性、弾性制止性と様々です。関節包ストレッチ、モビライゼーションが適応となります。

⑦腫脹・浮腫

外傷後の腫脹や様々な原因による浮腫により関節可動域が制限されます。腫脹や浮腫が強いとエンドフィールは軟部組織接触性に近くなります。寒冷療法、弾性包帯圧迫、腫脹部位の挙上位での運動などが腫脹の軽減に有効です。

⑧骨の衝突

関節構成体の変形などによる骨の衝突により関節可動域が制限されます。エンドフィールは骨性に近くなります。理学療法の対象ではなく、ストレッチングは禁忌となります。

以上8つに分類する事ができます。関節可動域制限の原因となる制限因子を特定する事で、患者さんに有効なアプローチが実施できると思いますので、復習となれば幸いです!

参考文献:市橋則明 「運動療法学 障害別アプローチの理論と実際 第2版」文光堂 2014年

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?