4月1日（月）〜4月7日（日）の日記です。

4月1日（月）　嘘からはじまるものは素直に喜べない

エイプリルフールは、罪のない嘘をついても許される風習らしい。

配慮が必要な時代にどこまで嘘をついて良いのかわからないし、相手の吉報を「嘘かもしれない」と頭をよぎってしまい、素直に喜べない。

自分の教養のなさと、軽薄さを突きつけられるような思いになってしまう私は、毎年、この日の午前中だけは、できる限りすべての出来事をスルーするように過ごしている。

4月2日（火）　不毛な議論

夜、歯列矯正のためクリニックに。
「なにか聞いておきたいことはありますか？」と聞かれる。しかし、いきなり聞かれても何も思いつかないので、「こういうとき、みなさん、どういう質問されますか？」と担当の人に聞いてみる。
「そうですね・・・痛いですか？ ってよく聞かれますね」と担当の人が答える。想像もしていなかったため、恐怖心が湧いた。「え、痛いんですか？」とすぐに質問する。しかし「いや、痛くないです」と返された。　こういうのを不毛な議論というんだろう。

4月3日（水）　マウスピースとの格闘

マウスピース矯正がはじまって、初めての朝食。

マウスピースをはずせば、普通に食べれると思っていたが、認識は甘かった。はずすのに20分くらいかかる。時間も手間もかかる。これなら一食でいいかもしれない、と作業にとりかかる。
しかし、昼すぎになると、お腹が減ってくる。仕方なく、マウスピースを外すことに。噛みつき防止の口輪を無理やり剥がそうとする犬のように、食べるために、僕はマウスピースと格闘する。
長時間格闘した後、食べた焼きそばは、格別に美味しかった。生きている感じがした。
夜に『オッペンハイマー』を見に行く。

4月4日（木）　桜に気づかないくらい下をむく

真夜中に悩んでいたり、考えことをしていると散歩をするようにしている。
歩き始めると遠くまで行きたくなる。東京タワーまで歩いてみることに。
どこか一人になりたくて歩きはじめた。なんとなく目的地を決めて歩きはじめると、自然と思考もまわりはじめる。
だけど、東京タワーにつくと、やたらと人が多い。ふと、視線を上げると桜が満開だった。桜に気づかないくらい後ろ向きな自分に気づいた夜だった。

4月5日（金）　誰かれ構わず挨拶をしてくる若いスーツ

仕事終わり。
エレベーターが混雑していたので、非常階段で降りることに。
すると、スーツに身を包んだ若い男の子たちが、階段を上がってくる。
「お疲れ様です！」と、誰かに言わされているような大きな声で元気よく挨拶してくる。「私はこの会社の人間ではないぞ」と思いつつも、研修終わりなのだろうか。たくさんの書類をかかえて、誰かれ構わず挨拶をしている。本格的に春を感じた。

4月6日（土）　博多通りもんから感じるたくましさ

収録。
マウスピースをはずすために、少し早めに仕事場に着く。トイレに駆け込む。上のマウスピースが舌先に干渉してしまう。ワイヤーとマウスピースを悩んだけど、はずせるマウスピースにしたことは正解だったと思う。

次の現場に向かう電車内で考える。
やっぱりはずすのは面倒だし不安だな、と思っていた。すると、正面に座っていた女性が、おもむろにマウスピースをはずしはじめた。その女性はカバンから、博多通りもんを取り出し食べ始めた。はずすはずさないで悩んでいた自分がバカバカしく思えた。そして、2個目の博多通りもんを食べ始めたとき、たくましさを感じた。

4月7日（日）　𝗜'𝗺 𝗱𝗼𝗻𝘂𝘁 チャレンジ

「アイムドーナツチャレンジがしたい」
アイムドーナツがどうしても食べたくて、友人と夕方から並ぶことに。
渋谷店は約一時間行列に並ばないと手に入らないらしい。まさにチャレンジ。

行列の最後尾に並ぶ。
友人が、先頭まで見に行くと、ざっと200人は並んでいるらしい。

並んでいるといろいろなことに気づく。
まず、アイムドーナツの並びに、パン屋がある。店の外には、「150円」「100種類」など売り文句が書かれている。こんな店が近所にあったら通ってしまう。しかし、店内は閑散としている。もし自分が、この店主だったら、毎日この行列を見せられたら発狂してしまうかもしれない。

列が前に進む。
すると、行列の途中にバス停があることに気づく。
このバス停を利用する人は、待っている間、難易度高そうだなと思う。
逆に、このバス停で降りてくる人は、ごまかしながら、なんとかこの行列に割り込めないのかな、と妄想していた。

並び始めてから、一時間。列は順調に進み始めている。
店内から店員さんがでてくる。どうやら、後１５分ほどで売り切れてしまうかもしれないと、お知らせしにきてくれた。絶対に買えるわけではない。それが、並んでいる人に共有される。
僕たちは、本当にギリギリのところ。

この店員さんの発言から、はじまるチキンレース。
「もう買えない」と思い列を抜ける人がでてくれば買える可能性も出てくる。誰かあきらめて帰らないか前方を注視する。しかし、誰一人、列を抜けない。おそらく一時間以上並んでいた人たちだ。面構えも違う。

店内が確認できる位置まで、ついにたどり着く。
しかしここで、店員さんが裁判の判決の紙を掲げるように、一枚の紙を取り出す。書かれていた文字は「sold out」。売り切れだ。

規則正しく並んでいた客は、それをきっかけに、散り散りになる。
僕たちも帰ろうと思い振り返ると、驚きの光景が。なんと並んでいた人の大半が、今度は、並びのパン屋に吸い込まれていくのだ。
逆転ゴールを決めたサッカーの試合のように、思わず歓喜の声をあげてしまった。そんな日曜日。