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あの景色をもう一度

ボクは今現在26歳、そしてもうそろそろ27年目を迎えようとしている。

やっていることと言えば、昼は工場で細々と働きながら夜はデザイナーとしてフリーランスになるべく、名刺を作ったり、カリグラフィーやらサインペインティングなんかをやっている。

今はデザイナーとして大成するには程遠い位置にいるかもしれないが、ボクにとってはデザイナーもフリーランスも途中経過・通過地点でしかない。目指すものはもっと先にある。

なぜ通過地点でしかないのかと聞かれたら、話が長く複雑で、ここでは全てを伝えることができないからだ。だが、一つだけ言えることがあるとすれば、ボクにはもう一度自分自身の目で見なければいけない景色があること。

大学に入ってボクは一人で始めて東京に行った。

初めて見た高速バスからの景色

出発時間は朝の6時。早すぎて乗り遅れるかと思ったが、これから訪れる未踏の地にボクの気持ちは俄然たかまっていた。
季節は冬から春に移り変わる時期だったか、早朝の新鮮な空気は肺の奥深くまで染み込むようだった。

あの時、始めて乗った高速バスの感動を今でも忘れない。身体だけでなく、気持ちも一緒に何処か遠くへ連れて行ってくれているようなあの感覚を。

バスに乗ってから数分で出発する。そして、高速エリアに突入する瞬間と自分の気持ちがシンクロしていく。これから静岡という土地を離れ、様々な体験が自分を待ち受けている。自分自身がアップデートされていく感覚。

静岡から東京まではおよそ2時間半。なんとなくボクは暇になると思い、スマホを取り出してその時の心情と1番マッチする曲をかけた。

道中、高速道路から見える景色はほとんどが高いガードレールで覆われていた。それでもボクの高揚感は止まることを知らずに、これから待ち受けている景色に想像を膨らませるばかりだった。

休憩で海老名サービスエリアに停まった。わずか10分ほどの休憩だったが、キリッとした輪郭の山々に囲まれ、朝日が少し眩しくなりかけている、透き通るような空気、見渡せば前日に雨が降ったおかげで周りの木々や草花たちが滴を着飾っている。

どれもボクには宝石に見えた。

急に何を思ったのか、東京以外の景色も見たいと思い、神奈川の東名江田バス停で降りた。
間違いなくあの時の判断は正解だった、間違いなくそう言える。

降り立ったあざみ野は急勾配の丘が続くところだった。どの家々も閑静な佇まいで落ち着いていた。一軒一軒が持つ雰囲気がとても好きだ、もしかしたら住み映るかもしれない。

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今のところボクの目標は東京に移り住むことだ。尊敬する人たちがたくさん住んでいる東京をいつも想像し、自分を鼓舞し続けている。ボクにとって東京とはそういう場所だ。

いま振り返れば、どんな瞬間もいつだってボクは空を見上げていた。何か心が動こうとしていたり、何かに反応していると決まって空を見上げていたと思う。

今は住み慣れているこの土地でやるべきことをやるしかない。でも、必ず東京に移り住み、自分の目標を叶える。きっとその時はたくさんの方とあいさつを交し合いたい。

これからもボクは空を見上げ続ける、ずっと。景色が変わり続ける限り。


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