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音楽の癒し

拍手は、鳴り止まなかった。

ヴェルビエ音楽祭の開幕コンサート、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番を、指揮者シャルル・デュトワで。

ピアノは、マルタ・アルゲリッチ。


それはそれは素晴らしい演奏だった。万雷の拍手の中、アルゲリッチは何度か深いお辞儀をする。オーケストラは立ち上がり、デュトワの手を取ったアルゲリッチがまたお辞儀をする。

そのままデュトワと共にアルゲリッチは袖にはけるが、鳴り止まない拍手の中、ふたりはまた戻ってくる。

デュトワはアルゲリッチに「アンコールに一曲」と促すが、アルゲリッチは「今日はもうおしまい」と言わんばかりに手で拒絶を示す。そんな中観衆は拍手でデュトワを後押しする。

あきらめたアルゲリッチは、右手に持っていたくしゃくしゃのハンカチをピアノの脇に放り投げ、ピアノに座り、熱狂する観衆に静寂を求めるべく、人差し指を唇に当てる。それでも観衆は拍手をやめない。

彼女の指がピアノに触れた刹那、それまで響き渡っていた拍手が蜃気楼であったかのようにふっと消え、代わりにアルゲリッチが紡ぎ出す音が場を支配する。

シューマンの『子供の情景』の第1曲「見知らぬ国と人々について」。

その染み入るような美しく優しい旋律は、美しさを成立させるにあたって悲しみの存在が不可欠であることを聴く人に悟らせる。たった今までその存在すら忘れてしまっていた、誰もが記憶の戸棚にしまっている幼き日のあの切なさを、久方ぶりに手のひらに乗せそのあたたかさに感じ入る。

最後の音が消えるか否かのタイミングで、アルゲリッチは少しはにかみながらピアノの方に頭を倒す。先ほどのものよりもさらに大きな拍手が会場を包み込む。彼女は立ち上がり、胸に軽く手を当て、観衆に向けて1度目は深く、2度目は浅く、お辞儀をする。

ここ数日、何度も見返している動画だ。もちろん、“メインディッシュ”であるチャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番も聴いている。

お恥ずかしながらクラシック音楽に関する教養も造詣も持ち合わせていない私が、“にわか的”に感銘を受けている中で書いた文章なので、間違っていたり適切な表現でない部分もあるかもしれない。

それでもあえて書こうと思ったのには、私が彼女のピアノから何か感じるところがあり、その気持ちを文章として残しておこうと思ったから。アルゲリッチの素晴らしさを表現する知性を、残念ながら今の私は持ち合わせていないが、それを直感的に受け止める感性はあったようだ。


もしアルゲリッチがどう素晴らしいのかを表現できる方がいらっしゃったら、ぜひ教えていただきたい。

いずれにしても、私は今、音楽が持つ癒しの力に、強く感動している。


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