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世界陸上局所的総論

世界陸上ブダペスト大会がちょうど1週間前に終了して、寝不足こそ解消されたものの“世陸ロス”に陥っている皆様も多いことかと存じます。

かくいう私もそのひとり。あの朝5時まで観戦をする日々が終わり、平穏な毎日が戻ってきた。それは喜ばしいことであるはずなのに、なぜだろう、心にぽっかりと穴が開いているような気がしている。


サッカー、野球、ラグビー、バスケットボールなんかと比べると、陸上競技はとかく人気がないような印象を受ける。きっと“にわかファン”になりにくいスポーツなのだろう。「10秒で終わっちゃうんでしょ?」とか、「トラックを何周も走り続けるのを見て何が面白いの?」なんて言われることもしばしば。言わんとしていることはわかるが、その10秒やトラックの周回に起承転結、大どんでん返し、ドラマがあるのだ。

陸上競技は、面白い。


とはいいつつ、ここで陸上競技の魅力を語ったところでほとんど伝わらないだろう。なので今回は、世界陸上ブダペスト大会の中で、とてもよかったと思われるシーンや出来事を3つ紹介しようと思う。

ちなみに私は、TVerで放送されていた本大会のほぼ全てをリアルタイムで視聴したに過ぎず、競技によっては一部しか放映されていなかったものもあるので、見逃している部分もある。その点だけご承知いただければと思う。


① 金哲彦さんの実況

今回の世界陸上のひとつの大きな話題は、「織田裕二ロス」だった。1997年のアテネ大会から昨年のオレゴン大会までの13大会でメインキャスターを務めてきた織田裕二さんが、今大会から姿を見せなかった。織田さんの司会の良し悪しに関しては、陸上競技をどの視点でどの程度の解像度で見るかによって判断が変わってくるだろうが、彼のおかげで世界陸上を観戦する人が増えたのは間違いなさそうだ。そういう意味では世界陸上を盛り上げてくれた立役者といって差し支えないだろう。

陸上競技は他のスポーツ以上に、競技時間そのものが短いため、競技を解説する「実況」とスタジオで進行をする「司会」の役割のうち、後者が占める割合が大きくなると思料する。だからより司会の織田裕二さんが目立っていたのだろう。

そんな派手な司会の陰に隠れて、実は世界陸上には「名実況」が何名かいる。例えば投擲種目の小山裕三さん。投擲種目といえば小山裕三さん、というくらいにそのポジションが定着した。辛口でお馴染みの彼が、今大会の女子槍投げ決勝で見せた“甘々興奮実況”に、ほっこりした人も少なくないのではないだろうか。

その「名実況」の中でも私は、金哲彦さんがとても好きだ。彼も長距離種目の解説でお馴染みになった。柔和な声で、適切な解説を淡々とする彼だが、日本人選手が最後入賞ラインギリギリのところを走っている時、急に熱のこもった“叫び”をする。そして、入賞したら大喜び、入れなくてもしっかり労う。私はそこに、彼の優しさと本気を見るし、その実況によって、私たちも選手と一緒になって闘っているような気持ちにさせてくれるのだ。


② 最終試技での大逆転(北口榛花選手、おめでとう!)

フィールド種目(跳躍種目と投擲種目)の面白さは、最後の最後まで順位が決定しないところだろう。大逆転の決着となることもしばしばである。

今大会だったら男子走幅跳のテントグルー選手、女子三段跳のロハス選手が、最終試技で逆転の金メダルに輝いた。特にロハス選手は、四連覇がかかっていた今大会、途中までずっとメダル圏外だったのが、土壇場の最終跳躍であっさりと首位に立ち、そのまま金メダルを獲得した。

そして、北口榛花選手。最後の一投で4位からの逆転優勝。本当に素晴らしかった。

ニュースで見る最後の一投だけではこの感動はわからないだろう。試合の全体の流れがわかってはじめて、この一投の「ドラマ」を理解することができるのだ。

試合直後のインタビューで、彼女が口にした言葉をここで紹介したい。

「つらいことたくさんあるんですけど、でも、今日だけはホントに、世界で一番幸せです」

北口榛花 世界陸上ブダペスト大会にて

この言葉を聞いて、「自分、頑張れているのかな…」と私は思ってしまった。

私も、がんばろ。


③ 女性100m決勝

「今回の世界陸上で一番面白かったレースは?」と尋ねられたら、皆さんはなんと答えるだろう。ノア・ライルズの短距離3冠、男子10000mでのチェプテゲイのラストスパート、女子5000mでの田中の日本記録&8位入賞、女子4×400mリレーでのオランダアンカーのボルの「有終の美」…素晴らしいレースがたくさんで、選べない!というのが本音だろう。

私は迷った挙句、今回は「女子100m決勝」を選んだ。他のどの種目よりも、実力者が順当に勝ち上がって決勝に残っていた印象があった。ジャマイカのフレーザー・プライスやジャクソン、コートジボワールのタルーといったベテランに、決勝の常連になってきたイギリスのアッシャー・スミス、室内シーズンあたりから好調だったポーランドのスウォボダ、セントルシアの新星アルフレッド、と注目選手しかスタートラインに並んでいなかった。

決勝のレースは、実力はお墨付きだがタイトルから遠かったアメリカのリチャードソンが、大外9レーンで大会記録の10秒65を叩き出し優勝。準決勝はギリギリでの通過だったが、決勝でここ一番の力を発揮した。2位と3位はジャマイカ勢で、こちらも実力通りの結果だったように思う。まさに、世界の頂点を、世界のトップを走り続けてきた選手とこれからトップを走るであろう選手で争った、そんな見応えのあるレースだった。

このように力のある選手が同じレースで走るのは、世界陸上やオリンピックならではだ。ダイヤモンドリーグ等の大きな大会はいくつかあるが、ここまで役者が揃うことはない。今回の女子100mは、そんな世界陸上の醍醐味を改めて思い出させてくれるものだった。


いかがだっただろうか?私の個人的な好みに基づいて選ばれた3つの局所的な面白さを通して、世界陸上の素晴らしさを総じて伝えようとするこの『世界陸上局所的総論』だったが、いささか無理があったかもしれない。

いずれにしても、陸上競技は面白い。これが面白いと思えるようになるには、残念ながらある程度の陸上競技に関する知識が必要だが、それを習得する労力を払ってでも陸上競技観戦を楽しむ価値は十分にあると思う。

次の大きな国際大会は、来年のパリオリンピック。まだ時間はあるので、ぜひこれを機に、皆様におかれましても陸上競技に注目していただければ、と思う。


やー、陸上って、本当にいいもんですね。


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