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戸締まりの更に奥

転職してから2ヶ月が経ち、とうとうあちら側も本気を出し始めてきたな、と思いつつ毎日出社しています。
ちーがです。

さて、話題になっている新海誠監督新作、すずめの戸締まりを見てきました(初日とその1日後の2回)。

点数をつけるとしたら100点満点中……
・一般大衆向けとしては80点。
・僕個人向けとしては45点。
です。
さて、ここまで読んで下記に当てはまる方は読むのをやめた方がいいです。
・あの傑作を45点!?何を見てきたんだ!?アホか!?と思った方
・そもそも見てないのでネタバレはちょっと…という方

以下映画本編のネタバレ及び自己解釈、想像を含みますのでご注意ください。

❗️ネタバレ注意❗️

さて、今回のすずめの戸締まりを読み解く上で考えなければいけないのは下記の点です。
具体的な劇中の場面等を織り交ぜながら話します。

  1. 新海誠監督とジブリ

  2. 君の名は→天気の子→すずめの戸締まりの公開順序

新海誠監督とジブリ

今回のすずめの戸締まり、今までになく露骨にジブリ色、ジブリの作品のオマージュが多数見られました。
①魔女の宅急便
喋るネコと(あんま一緒にいないけど)1人旅
いろんな人に助けてもらいながらの旅
途中ネコが喋らなくなる
母の形見と叔母の思いという"重さ"を持参しながらの旅
ルージュの伝言
→魔女の宅急便は思春期のでかいリボンをつけた女の子が独り立ちするために街に行くけど全くうまくいかず、でも様々な人に助けてもらいながら少し成長する物語。
すずめも思春期で大きい重い思いを嫌に思いながら旅に出ます(突発的にだけど)。旅館を営む家の子供、バーを営むシングルマザー、etc...

②ハウルの動く城
扉というテーマ
常世で過去の自分と会う
キスで目覚める王子様(リアルか概念的なものかは置いておいて)
→ハウルについては断片的なオマージュだと思うのでこれくらいでしょうか。
ハウルの動く城のラストの方、指輪の光が指し示す方へソフィーが歩くといつもダイヤルで回して行き先を変えていた扉が。開けると真っ暗な空間を抜けそこには過去のハウルとカルシファーが。
ソフィーは必死に声をかけます。
すずめの戸締まりでは過去の自分に会うわけですが、扉を開けた向こうで過去の決定的な瞬間を思い出す、知る点では一緒だと思います。

③もののけ姫
ミミズが倒れるシーン
常世で大きなミミズが要石で封印された後の緑地化現象
→もののけ姫も断片的なオマージュだと思います。ミミズが倒れるシーンはもののけ姫の最後でデイダラボッチが倒れるシーンを想起させます。更にデイダラボッチが吸引していた魂が解き放たれ、周りの禿頭になった山々を緑で埋め尽くします。そのくらいでしょうか。

④その他
ダイジンのすずめ、好き!発言
→ポニョのそうすけ、好き!
デカネコ
→ネコバス?うーん…?
etc...

ジブリ作品はやはり日本の中で圧倒的な人気を誇るコンテンツですし、海外でも一定の評価を得ています。ジブリ作品は宮崎駿の思惑と鈴木敏夫の思惑の融合でできていると勝手に思っているのですが、新海監督はそんなジブリの様態を知っていたのだと思います。
新海監督は1人ジブリで、自分のやりたい!(宮崎駿)と売れる作品(鈴木敏夫)のバランスに悩んでいたと思います。君の名は。は相当売れる作品に寄らせながら、オタクの考察する人にも楽しい作品となりましたし、天気の子はある程度売れる要素を残しつつも自分のやりたいをある程度残せた作品になったと思います。
今回の作品はジブリオマージュや売れる要素を前面に出しつつ今までやりたかったであろうテロを起こしてきました(テロについては次の項目で)。
まとまりませんが、新海誠監督は1人ジブリなんだと勝手に思っています(高畑勲要素も考えるともっと面白い)。

君の名は→天気の子→すずめの戸締まり の公開順序

各作品でやりたかったことについては上で書きましたが、この順番が大事だったんだと思います。
個人制作でアニメを作っている頃から新海監督の悩みはアニメ制作で何ができるのか?だったのだと思います。
自分の作品が世に与える影響と、自分のやりたい表現の行き着く先。
今回のすずめの戸締まりはある程度新海監督の中でも決着がついたのではないでしょうか。
ずばり、
"より多くの人のトラウマを抉る"
が新海監督のやりたいことだったのだと思います。
君の名は、天気の子と経て災新海誠人気に火が付き、3作品目(一般人からしたら)もすごく楽しみ!と思いながら見に行ったら多くの日本人のトラウマであろう地震速報を序盤から相当鳴らす、ニュースで見ているであろう、自分が体験しているであろう地震、津波の風景を見せる…と、相当観客の心を抉りにきています。

宮崎駿や新海誠のように作家としてさまざまな作品を作っている人は日々自分の心との対話で心を抉りに抉って生きているのを疑似体験できるいい機会だと思いますし、それを新海監督は観客にも体験して欲しかったのだと僕は思いました。

まとめ

すずめの戸締まりの根幹的なテーマ、ひいては新海誠監督が作品を作る意味について考えることでよりすずめの戸締まりの表層的なテーマ、作品的なテーマを考察するのに役立つと思います。
相当言葉足らずなので1ミリも伝わっていないと思いますが、0.1ミリでも伝わったら嬉しいです。
反論コメント待っていますがそれに反応するかは気分次第です。
ちなみに過去の記事を読んでいただければわかりますが、僕自身は東日本大震災を福島県で経験し、6強の揺れを体験後、福島第一原発の事故の影響で関東に避難している身ですので被災者としてのトラウマを大いに抉られました。他の人に比べて僕は定期的にこのトラウマを抉り出しながら11年暮らしているのでこの程度ではへこたれません。

次はすずめの戸締まりの作品内容としての考察をしたいと思います。

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