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40歳目前の「私へ」60歳の「私から」


40歳が目前にせまった38歳のとき男女共同参画センターのロビーで通信制大学のチラシを見つけた。

今から20年前の話し。


そのころ、言われのない焦りがあって「このままではいけない」とか「なんかしなきゃ」みたいに思っていました。


そこで、例のチラシに刺激され急に思い立ち入学することにした。

入学手続きの時知ったのですが、
専門学校を卒業していたので大学卒業に必要な「単位」を、現時点で半分もっているらしいく「へーそうなんだ。」と驚きました。

自分のことなのに。¯\(°_o)/¯


それで三年生に編入することにした。
そもそも、その大学は入試がないし、学費が安くて自分時間に合わせて授業が受けられる。しかも、たくさんの科目がありおもしろそう。

これなら、フルタイム、家事、子供の部活などをやりながらでも「いけるかも!」と甘い考えで入学しました。


ところが、入ってみると授業はかなり難しく、当初2年で卒業するつもりが38歳で入って卒業は42歳になってしまいました。




その大学とは「放送大学」で今から20年前には、たしか授業を受けるには、テレビで放送される講義を見るか、各地にある学習センターでDVDで見るか借りて家で見るかだったと思います。


それで、テレビ授業の時は時間割に沿って、受けたい講義によっては朝早くとか、夕方とかの家事の合間に見たりしていた。


土日は小学生だった子供を連れて学習センターに行っていたことを思いだす。


今思えば、私が授業を受ける数時間、イタズラだった息子がその学習センターの中でお留守番できたもんだと関心する。


お昼になると、2人で屋上のテラスにあがり持ってきたパンとジュースを食べた。

気持ちいい風と緑、低いビルの街並みだけは浮かぶけど、何を話したのかは思いだせない。  

春の懐かしい記憶。
あまり会えなくなって、あれも貴重な時間だったと今頃になって気づく。

そんなふうに、色々と工夫しながら授業を受けていたが今ではパソコンでもスマホでも、いつでも授業が受けられるらしい。
ここ数十年の進化ってすごい! 当時では予想もつかない。


ちょうどその頃、実家の後を継いだ妹から父の余命宣告を聞かされた。

「あと、一年らしい。ガンのある場所が悪くて手術は無理なんだって…。」とのことで聞いた時の感情は何故か「無」という感じだった。



看護師の私は当時夜勤をしていた。
夜中、仕事が終わり帰る車の中で急に悲しさが込み上げてきた。

自宅の車庫についても、涙が止まらずハンドルに伏してしばらくは泣いていたと思う。

それから、数日間は自問自答を繰り返した。
「私は今まで父親に何が出来たのだろう? 恩返しなんて何も出来てない!」と言う思いがぐるぐるして何かにつけて泣いた。


そんな中でも大学の単位は取らないといけない。
「自分のスキルアップのことばかりに捉われていた自分って何なのか…。?」と重い気持ちになった。



ふさぎ込んでいた時、気持ちを変えてくれることがあった。
当時、大学の履修科目の中に「現代人のための哲学」があり、渡邊二郎先生生が講義をされていた。


はじめは、バカな私にとって教科書に書かれていることが、あまりにも難しすぎて一つひとつの言葉の意味調べから始まった。


今ならググれば一発だが当時は辞書をパラパラとめくっては、言葉を見つけていくたいう作業に手間がかかった。

でも教科書と辞書にマーカーの色や、調べたことの書き込みが増えていくのがうれしかった。


その中で「生病老死」にふれた章があり、親が先に逝くことについて書かれた一文をみつけた。


「親への孝行とは親が教えた、生きていく上で人として大切にしなければならない事を次の世代へ繋げること。それにより、逝った人が生きた証がそこに残る」と言う様なものだったと思う。

父の余命宣告から一カ月くらいが経っていたが、やっと自分の中で腹落ちした。


直接言われた訳ではないが、55歳で障害者になった父の人生が教えてくれたものを一言でいうなら「一生懸命」と言うことです。

それをどれだけ子供たちに伝えることができるかは、分からないけど自分なりに精一杯やろうと思えたし、今の自分がやっていることにも意味が見出せた気がする。

結果はどうであれ「一生懸命やれ!」と言われている気がした。


放送大学で学んだことは他にもたくさんあって、今でも教科書は残してあり時々出して読んだりもする。



年をとってから、新しいものに出会うことや他の人の考え方を知ることは、狭くるしい自分の世界をこじ開けてくれる気がします。


40歳目前の私に、今の私から一言。

40歳全然若い!
まだまだ何でもやれるぞ。

結論
結局、今が一番若いってこと。


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