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青い何か

  

2BG

 最近、諸々に忙殺されて日々を”生きる”というよりも、”消化するように”過ごしていた。その証拠に、ゴミ袋には野菜の包装されていたビニールや、肉の入っていた発泡スチロールの代わりに、チェーン店のテイクアウト容器やコンビニ弁当のプラ容器が増えていた。病気をして病院を退院して以来、月日が経つほどに良くないと分かっていても健康への意識が下がってきている。1日1食の生活をしていたり、深夜に激辛カップラーメンを食べたりとまあひとり暮らしの酸いも甘いも一通り経験したと思う。数年経って振り返るとまだまだ青い春は序盤だと思うのかも知れない。
 そんな日々に疲れたので授業が1コマしかなく(本当は2つだがリアルタイムの授業は1コマのみで、もう1つは課題配信)、決まったインターンの業務も夜2時間しかない月曜に、最低限の連絡が取れる状態で誰とも連絡を取らずひたすら音楽とラジオを聴きながら本を読む日を過ごしてみた。家のすぐ近くのスーパーで久しぶりに野菜や肉を買い、4品を作り置きした。最近バイト中に立ちくらみすることが増えてしっかり食べるものは食べねばということで張り切った。

TKYサイクル

 あっという間に10月が終わったなと思っていたら、もう11月が終わろうとしていた。そんなことを思いながらどうしようもないくらい寒い夜に自転車を漕ぎ漕ぎして夜の東京の街を回った。サイクリングすると絶対に行く国会議事堂周辺は会期中ということもあってかいつもより警察官や警察車両の数が多かった。1ヶ月、2ヶ月前までどこから来たのか、特定の年齢層が集い学術会議の一件に抗議していた官邸前も、警察官の数が多かった。例によって官邸前には黒いトヨタのランドクルーザーが停まっていた。

アオハライド

 こういう寒い冬は今はなき欅坂46の「二人セゾン」がコンビニおでん以上に染みる。

 所謂、「エモい」感情に襲われると青春について考える。それと同時に、自分も年を重ねたことを思い知る。それぞれが手を繋ごうとするも繋げないまま歩く中学生、ギュッと手を握ってゆっくりと歩く高校生、彼女の家の前でダラダラと終われないzoomミーティングのように話すカップルを見るとテンションが上がる。自分が手に入れることのなかった、憧れていた「青春」を過ごすその光景に嫉妬を通り越して勝手に楽しめよぉ〜〜という感情になる。
 同時に青春の定義はなんぞやと思う。広く学生生活の中で何かに全力で打ち込むということなら、大学入学後から所属していたサークルと良く言えば暖簾分けをして大学公認サークルの代表となり、世界規模の学生ビジネスコンテストの学内予選の運営を行っていたり、別に立ち上げた組織も現在ではそのメンバーが9人まで増え、来年2021年にはさらに躍進できそうなチームとなったりしている。今という瞬間に全力で向かい合っているとは思う。
 AKB48の隠れた名曲、「青春と気づかないまま」によれば、きっと歳を重ねて再び過ごすことのできないかけがえのない時間のことなのだと思う。

青春と気づかないままに 時に流されて
甘えてた制服を脱ぎ捨てて 大人になってた
あの頃にみんなで歌った メッセージソング
歌詞の意味が今さらわかった 

 そういう意味では、高校を卒業してもう1年以上が経つ。往々にして日本人同士はそう仲良くなかったなとか、そう言えば付き合っていた韓国人の女子は乃木坂の与田祐希にどこか似ていたなとか思い出しつつも、特に何かに一生懸命に取り組んでいたかと言われるとかなり怪しい。強いて言うなら凄く日々を全力で過ごしていた。あれを青春と呼ぶにはどこか侘しい。
 高校時代は欅坂46にとにかくハマっていた。日本に帰国している夏休み期間はライブに行けるだけ行った。近くは幕張メッセへ、遠くは富士急まで足を伸ばした。推しで先日誕生日を迎えた菅井友香を応援できるだけしていた。きっと数年後にふと立ち寄った居酒屋で欅坂の曲を聴くときっと、あの頃は若かったなぁと、八重洲周辺にいる若手社員に偉そうに大したことないことを大層に語る先輩社員のようなことを思うのだろう。甲子園出場にその3年間を捧ぐ人もいれば、人として仲良くできることのない他人のアイドルを応援し続けるのもまた青春の形なのかも知れない。

終わりの段落

 つらつらと取り留めのないことを書き連ねたらまた2000字に迫ろうとしているのでそろそろ終わりたいと思いつつ、先日同じゼミの男子3人と遊んだことを思い出した。初めて大学生らしい時間を過ごした。と言ってもドリンクバー付きのカラオケにフリータイムで行っただけだが、アルコール抜きでもあそこまで楽しめるものなのかとカラオケに対する考え方が変わった。ONE OK ROCKで喉を潰そうとしてる人、今まで数多の女子をカラオケで落としてきたような歌い方で歌い上げる人、あまり音楽を聴かないのか後半は盛り上げ役に徹する人。なかなかに面白いメンバーだった。そんな中僕はflumpoolの「君に届け」で喉を潰し、その後は英語ラップしか歌えなくなった。
 今後、この関係性がどう発展するかは分からないが、早いタイミングで素を出し合い始めているこの感じが好きだし居心地が良い。男子とはやはり男子同士でこそその本領を発揮するのだと痛感した。自分含め女子の前では残念ながら男子はオスであって男子ではない。その見え方は人によるが、下心全開で接している。ゼミのプレゼンのために中国の各種統計データを調べている同じグループの女子の横で習近平氏の写真をくまのプーさんのそれと並べた画像を見てヘラヘラしていたからどうしようもない。これもきっと僕なりの下心だ。成り行きでリーダーないしそういう役割に成ることが多く、どうしても「キツい事言う合理主義者」というイメージがつく事が多いからこそのふざけることもありますよアピールだったと思う。そう思いつつ、高校時代からずっとこういうくだらない画像でヘラヘラしているのでまだまだ高校生が抜けていないだけなのかもしれない。

 それはそうと、最近ずっと気になっていた村上春樹の「一人称単数」という短編集を読んだ。圧倒的に一編目のバイト先の先輩とセックスする話を気に入った僕はまだまだ青いのかもしれない。

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