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飲食業の闇と灯りと適材適所

労働時間が長い上に休みも少ないイメージの強い、飲食業。

先日、こんなツイートをしたら「あぁ、あるよねぇ」という意見をいくつかもらいました。

僕のツイートの中では「いいね」も多かったです。

でもこれって「あぁ、あるよねぇ」で済ませてはいけない事だと思うんですよね。

しかも、後日話を聞いたところその料理長の病気は溶連菌だったそう。

溶連菌は子どもがかかる印象が強いですが、周りの人に感染する病気です。大人でもなります。

僕は医療関係の仕事をしているわけではないので詳しくはわかりませんが、妊婦が感染すると最悪の場合死に至る事もあるようです。

その上司がこの溶連菌の症状について良く知っていたとは思えませんが、どちらにせよそんな状態の人を働かせるなんてあってはなりませんし、自分の大切な人が「飲食店で働いている人が溶連菌だったから死亡した」なんてありえない事です。

知らなかったでは済まされないです。マジで(すみません、珍しく怒ってます)。

と言うわけで今回は、現在の飲食業に身を置くものとして「こんな社会になったら良いな」について書こうと思います。

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それじゃあ良くないよねという共通認識

40代の料理人の方がこのようなツイートをしていました。

本当にそうなんですよね。

自分が暴力や今で言うパワハラを受けながら育った現代の40代人達の選択肢は基本的に二つです。

→自分がされたから、そう教える。                   →自分は嫌だったから、そうしない。

前者は企業で働いていたとしても、先輩風を吹かせるものの店舗の長ではなく、出世していない事が多いです。

彼ら自身も先輩から教えていただいた事をそのままやっているだけで、そこまで悪気はないように思えます。

下からしたら大変なんですが、致し方ありません。もし、後輩達にアドバイスを送るとしたら「とりあえず自分なりに頑張ってみて、無理だったら逃げるが勝ち」です。

身体を壊すほどやる必要はないと思います。限界までやらなくてはいけないタイミングはきっともっと他にあります。

そこは置いといて、問題は後者です。

「自分は嫌だったから、そうしない。」

この人達です。

「え?良いじゃん。」と思う人が多いと思いますし、実際に良いです。

現在、若くして成功されているオーナーシェフの方はほとんどがこのタイプの方だと思われます。

自分がされて嫌だった暴力や長時間労働の強制はしない心の優しい方々。ただ一方で「どう接して良いのかわからない」と言うのがあるんですよね。

自分がgiveしている「労働時間の強制をしない」と「暴力or強い言い方をしない」と言うのは、現在の若い子からしたら「当たり前」なんです。

全然giveしてもらっているという感覚がない。

ただ、心の優しい40代はとにかく優しく接する。時間がくれば早く帰してあげるし、怒鳴るなんて事はしません。自分はそうしてもらえなかったから。

その一方で、結果的に「何でこんなにやってるのに」と言う感情が芽生えてくる…辛いですね。

そりゃ辛いです。若い頃は年上を早く帰すように頑張って、自分が年上になったら今度は若い子を帰す番。自分が楽できる番はいつ来るんだ?となるのが人間です?

でも仕事って若い子達に優しくして、辞めさせない事ではなくて、モチベーションを与え、技術を高めてもらい、美味しい料理をお客さんに提供する事なんです。

ただ、どうすれば良いかわからない。ちょうど「年功序列」とか「終身雇用」とかいう概念が盛んだった世代ですからね。会社に長くいることに価値があった。

急に色々言われても知らんわ、わからんわ、そりゃあそうです。

現在の40代にはそんな心の優しい料理人さんもいる、そんなように思えます。



店舗作りは運じゃない

先日、こんなツイートをしました。

これだけは言い切れます。マネジメントや教育は技術です。

だから、結果を残せる人は高い可能性で結果を残せるし、そうじゃない人はたまに運が良く結果を残せる程度です。いわゆる、良い人材がたまたま集まってしまったパターンです。

ただ、個人的には若いうちにこの運が良いパターンで成功体験を積んでしまうと後がしんどい。自分の実力と運がごっちゃになってしまっていますからね。

「昔の部下と同じようにやっているのに今部下は動かない。本当にダメな奴らだ」となってしまうパターンです。そんな独りよがりなリーダーには誰も付いていきません。

マネジメントの基本は傾聴です。

自分の声を押し通すだけじゃ下は付いて来ません。

英語でRespect from respectという言葉がありますが、リスペクトはリスペクトからしか生まれないという意味です。上司が部下をリスペクトし、意見を聞く。

人間は共通点のある人間が好きなので、部下が好きな事を知り、自分も同じように趣味を合わせる。

そこまでやらなくちゃいけない?いや、それだけで相手の「聞く姿勢」作れるのなら安いものです。

昔、友達のお父さんがゲームが上手かったらそれだけで羨ましかったし、仲良くできませんでした?

「ゲーム?くだらん。外で遊べ。」なんて言う友達のお父さんはどうですか?

年上の人が自分に合わせてくれたらそれだけで嬉しくないですか?

何を教えるにしても飲食業の基本はコミュニケーションです。相手の聞く姿勢を作れる、部下から好かれる・尊敬されると言うのは上司としての第一歩です。聞く気のない人に何を言っても馬の耳に念仏です。何を言っても相手の耳にはヒヒーンとしかインプットされてないです。

それに、個人的には現在の40代の人が羨ましい部分があります。

しっかりとした修行を積んできた方が多いので確かな技術があり、かつ、この世代の人とは分かり合えないというレッテルが若い子からあるので少し「どんなアプリ好きなの?俺パズドラ超強いよ?」って言うだけで、一気に仲良くなれるんですもん。

ギャップが生まれるんですね。

ヤンキーが捨て犬を拾うだけでめっちゃ優しく見えるのと同じ理論です。ゲームすればそれが作れるんですもん。最高じゃないですか。



自分の人生に何を感じるか

感じたいのか

飲食業はITに比べたら、稼げるお金は少ないです。これは間違いありません。ビジネスモデル上そうです。

ただ、それはすなわち病気でも出勤しなければいけないと言うわけではありませんし、長時間労働しなければいけないというわけでもありません。

ましてや周りの人を病気にするリスクを背負ってまで働くなんてあり得ないです。

それでも、僕はやっぱりGDPの高さよりも幸福度の高さの方が大切だと思うので、僕に合ったこの仕事を選んでいます。(本音を言うともう少し稼ぎたいけ)

僕自身、自ら望んで長時間労働する事があり、友人との会話の中でポロッとそんな話をすると、可哀想…大丈夫?みたいな目で見られる事がありますが、そもそも仕事が好きなので気になりません。

料理人って自分の作った料理で人を幸せにできる素敵な職業だと思うんですよね。

だから、若い子達がパワハラなどがキッカケで料理が嫌いになったりするのは嫌ですし、40・50代の職人さんが「なんで俺らの番は来ないんだ」なんて思っているのも凄い嫌です。

一方でもちろん、仕事にやりがいを持って働く最前線にいるオーナーシェフもたくさんいます。

みんながそうなれば良いとも思わないですし、2番手や3番手に一番幸福を感じる人もいて然りです。

ただ、経験が長いというだけで料理長への圧力をかけられ、上立たされるとか、そんな人の下で飲食業を始めてしまったが故に料理が嫌いになるとか、そう言うのは無くなって欲しいです。

お金に関しては、ブログを書いたり、YouTubeしたり、料理教室したり、出張料理したりして増やすのもありです。

それに、国の援助を上手く使っても良いです。

節約したり、豪遊しなくても楽しく過ごせるコツを掴んだりしても楽しいかもしれません。料理長になって収入を増やすことだけが選択肢じゃないです。

料理長になるとか、カウンター割烹とか、お客さんから見えないところで仕事がしたいとか、本当に向き不向きです。何がその人のとっての幸福かなんてわかりません。

安い給料だとわかっているのに料理が好き、接客が好きと言う理由で働いている人達がもっと楽しめるような、そんな社会になれば良いなと思います。

そのためにも、色々な形で飲食業の事や料理、お酒、教育などについて発信していこうと思います。激務の中で勉強する時間を探すのって、めっちゃ大変ですから。





長文を読んでいただきありがとうございました。

そんな感じで、今日の話は終わります。

では^^



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