ウッウロボの表裏

最近はポケモンカードにハマっており、特にミュウは確率と期待値を考えるデッキで、すごく好き。
先日ポケカの大会に参加し、悩ましい手札のアンケートを取ったところ、驚くほど反響があったので、リスクリターンの考え方をテーマに記事にする。

行動経済学の言葉で、「損失回避の法則」というものがある。
人は無意識に、得することよりも損することを避けようとする傾向がある。得られる利益よりも、損失そのものを回避しようとする考え方だ。

質問①「利益」の場合
A. 100万円を無条件でもらえる。
B. 200万円を50%の確率でもらえる。

この場合、大多数の人がAを選ぶ。何も得られないリスクよりも、より確実な100万円を選ぶわけだ。

質問②「損失」の場合
A. 200万円の借金が半分になる。
B. 200万円の借金が50%の確率で0円になる。

この場合、質問①でAを選んだ人はAを選びそうだが、実際はBを選ぶのが多数だ。借金=損失が残るのを嫌い、リスクがあっても借金を帳消しにしたいからだ。

質問③「利益と損失」の場合
A. コイントスで表が出たら5万円もらえる。
B. コイントスで裏が出たら4万円支払う。

得する可能性が高い。期待値を計算すれば収益プラスだ。
それにも関わらず、この場合は参加しない人が大多数になる。この心理傾向になるのは、利益と損失を比較すると利益の方が上回るが、コインに負けてしまうと損失を被ってしまうからだ。

プレイヤーの感情を揺さぶるカード

ネガティブな経験はポジティブな経験に比べ、人間の精神に強い感情的影響を及ぼす。誰しもウッウロボのコインの裏表で、感情を大きく刺激された経験があるだろう。

たしかに裏が出た時は虚無の気分になるが、実際はそれと同じくらい表が出て勝ったゲームもあるはずだ。
良く聞く「自分はウッウロボ外れるからデッキに入れない」という言葉は感情論に過ぎない。十分な数のサンプル数を増やせば確率は収束する。
10回コインを投げて表3回、裏7回の事も起こるだろう。しかしサンプル数を100回、1000回と増やして行けば、確率は50%にどんどん近づいていく。

その上で、4つの選択肢それぞれを考えて行こう。

相手のポケモンはHP220で、ぜひとも1ターン目にメロエッタでメロディアスエコー210と、グッズで+30で240ダメージを狙いたい相手。アルセウスVやパルキアVを想定して欲しい。
ここで焦点になるのは、デッキに残っていて引きやすいカード(=デッキに合計枚数が多いカード)の期待値と、ゲノセクトのフュージョンシステムで引ける最大枚数だ。

①クイック捨てロボ

一番リスクが大きいが、逆に一番リターンも大きい。
ウッウロボ表が出たらバトルVIPパスをサーチ→メロエッタとゲノセクトVをサーチ→ミュウとメロエッタにカミツレ→メロエッタにベルトからフュージョンシステム×2で繋がりやすい。
しかし裏が出たら、フュージョンシステムで1枚しか引けず、かなりギャンブル性の高い選択だ。


②ロボ捨てクイック

興味深い事に、アンケートではこの選択が最大多数で51.6%になった。
クイックでメロエッタをサーチ→ミュウとメロエッタにカミツレ→メロエッタにベルトからフュージョンシステムで3枚ドローで、ドロー先がボールやらVIPパスならゲノセクトサーチで繋がるし、フュージョンエネルギーを引いても良い。

この選択が最も損失を回避しやすく、コインと言うランダム要素に影響されない、堅実な選択と言える。アンケートで②が最も多かったことは、まさしく「損失回避の法則」に当てはまると思う。

③ベスト捨てロボ

ウッウロボ表が出たらバトルVIPパスをサーチ→メロエッタとゲノセクトVをサーチ→ミュウとメロエッタにカミツレ→フュージョンシステム×2で繋がりやすい。
ウッウロボ裏が出たなら、カミツレ捨てクイックでゲノセクトをサーチ→フュージョンシステム×2で再度考え直す形だ。
ベルトを捨てる理由としては、+30するグッズはパワータブレットとこだわりベルトで他に5枚あり、デッキに残っている枚数が多いので引ける確率が高いと判断するからだ。

④カミツレ捨てクイック


サポートの使える枚数は1ターンに1枚なので、フュージョンシステムの後から引いてくるカミツレを期待するとともに、デッキに残っているフュージョンエネルギーの枚数が多い方が引ける確率が上がるという考え方だ。
ただ240ダメージ出すためにこのターンのカミツレは必須条件なので、ロボやクイックからスタートする他の選択肢よりも動機として弱い。この4択の中ではもっとも消極的。


最初は僕も②だと考えて、実際そうプレイしていた。
しかし安全な選択を取るのは、他のゲームの癖が残っているからで、ある程度リスクを踏み込まないと「ゲームは続けるけど負ける選択」になっていないだろうか。

ポケモンカードが得意な人たちは、こういった場合にどうリスクリターンを取るのか、気になって聞いてみた。その中で納得できたのがミナキさんの③の選択。たしかに③ならリスクをとりながらリターンを求めつつ、リスクに対するケアも出来ている選択だ。コイン表なら最大値を狙いやすく、裏でも保険が効く。

これは僕が普段遊んでいるマジック・ザ・ギャザリングにも通じる事だが、強者ほどリスク管理が上手いように思える。安全に行くだけでなく、自分の手札で出せる最大値を求めつつリスクもケアする。安全択だけでは勝てないことを知っているからだ。
考えれば考えるほど、答え③が正しいと思えるようになって来た。

特にミュウはVIPパススタートできた時は捨てる手札を間違っても勝てるほどの強さがあるが、手札が少ないときほどこういったシビアな選択が求められる。
ミュウに限らず、ポケモンカードは常に何を捨てるかの選択は起こり続ける。

感情論で言うと、ウッウロボやポケモンキャッチャーやクラッシュハンマーは嫌いなカードだ。しかしコインが当たれば、サポートに匹敵する性能だ。
ポケモンカードが、コインを振る強いカードが存在するゲームである以上、勝つためにはリスクだけの側面を見るのでなく、50%の確率に挑まなければいけないときもある!

ドローとコイントスと言うランダム要素がある以上、4つの選択肢に完全な正解は存在しません。しかしその中でも、安全な選択だけでなく、リスクとリターンの両方を天秤にかけて考えましょうと言う記事でした。

それではまた。

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