映画「ザ・キラー」をNetflixで見ました。Netflixオリジナル作品は映画というのだろうか？
映画館でも上映されていたので映画でいいか。
仕事に失敗した暗殺者の男（クリスチャン）。失敗の対価だろうか？　同居していた女性が傷つけられる。世界中を周り、その復讐を行なっていく物語。

物語を進める動機は「復讐」です。その復讐物語を、どう見ている人に興味を抱かせるかで楽しめるかどうかが決まると思う。
主人公の一人称のような作品として描くことで、共感を高めることとに成功していると思います（心の声が頻繁に出てくる）。
物語の冒頭は暗殺の仕事の経過が描かれるのだが、これが執拗で結構長い。少し飽きてくる感もなくはない（何かと理由をつけて暗殺の場面を引き延ばすし、その過程に行くまでも長い）。ここで、主人公（ここまで一人の人間を描かれると、このずっと画面に映っている男を主人公と認識するね）の几帳面な性格が描かれる。
その後、クリスチャンは仕事に失敗し、隠れ家に戻ると家には血がある。舞台は病院に移り、同居していた恋人らしき人物が傷ついた姿で寝台に寝ている。そこから、クリスチャンの復讐が始まるわけである。
見どころとしては、暗殺者であり几帳面で冷静なクリスチャンがどう復讐劇を行なっていくかの興味となる。
殺していくのは、クリスチャンの恋人を傷つけた殺し屋をたまたま運んだタクシードライバー、クリスチャンに暗殺の仕事（映画冒頭で描かれる）を仲介した弁護士とその秘書、クリスチャンの恋人を傷つけた殺し屋二人、そして暗殺の仕事を依頼した男（この人は殺されない）。それぞれの殺される前の考え方の描写もこの映画の見どころである（彼らはどう考えて、こういう行動をしたのか）。人間の行動の理由は興味が惹かれる。
特に二人目の殺し屋は色々の語ってくれるので、興味深く話が聞けますね。
一人目は話す機会もなく、戦いが始まる。よく考えると、緊迫感がある派手なアクションはここくらいかな。

とはいっても、この作品ではクリスチャンが物語の主体であり（主人公が必ずしも物語の主体となるわけではありません。探偵ものとかだと主人公のキャラクターは楽しませる要素としてありつつも、主人公は物語を進める要素であり、探偵される方にドラマがあったりしますよね）、敵がわは主人公の人間性を見せるための存在であります。主人公主体でドラマを作っています。敵側が見せる反応も、それに対して主人公がどう思うかが物語を楽しませる要素となります。敵側に強いキャラクター性がある人はいなかったですしね（女性暗殺者はキャラクター性強かったかな）。
この物語を面白くする常道は登場人物なんだな、と思いました。それに人間が、舞台が、時間がどう対峙して、人間性を見せていくか。
映画だと見せる人物を限定しないと作品として長くなったりと散漫となる可能性もありますが、連続ドラマなら主人公以外にも人間性を深掘りしていく作品も多いですよね。
ドラマを何が生み出すための出来事が何かを物語作りでは考える必要がある。この作品は「復讐」という出来事が、主人公に動く動機を与え、主人公は次の動きのための（復讐の対象の居場所を知るために）出来事を提示する。

クリスチャンはいろんな国に行くのだけれど、行く場所がその国の観光名所ってわけではないせいだろうか、色々な国を見せるという点ではそれほど楽しめるわけでもなかった。

復讐の標的に達するまでの過程もこの作品の見どころだね。

復讐のために淡々と殺しを遂行していくクリスチャン。タクシーの運転手と、弁護士の秘書みたいな人は巻き込まれただけなのに殺されてしまう。弁護士の秘書の人に対しては、多少逡巡も感じられたけれど。クリスチャンは「感情移入するな」と何度も言っている。他にも口癖があって、こういう口癖が性格を表してもいるね。

冒頭、クリスチャンの殺しが失敗し現場かバイクで離れる場面の映像は格好良かった。一瞬入る顔のアップでクリスチャンに感情移入する瞬間があった。
クリスチャンが標的を狙う建物から出る時の、俯瞰で撮られた階段の場面も印象深かったね。

最後見逃したのは何でだろう？　何回かラストを見返したけれど、よくわからない。「負の連鎖はここで終わりってことかな？」

テーマはなんだろう。暗殺者という属性にいる人間の生態を描くことかな？

わからないところも多かったけれど、見ていて楽しい作品でした。映像の力なのだろうか。

下記を見るとコメディのようにも見られたらしい。全然気づかなかった。吹き替えで見れば良かったかな？

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