記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

映画「ナポレオン」を見てきた。愛の物語。

映画「ナポレオン」を見てきました。時間の都合で吹き替えで見てきました。
エンターテインメント作品という感じではなかったですが、映画として凄くて、良い映画でした。戦争の描写も迫力があって素晴らしかったですね(けっこう残酷な描写もありました)。私は楽しめました。
物語はナポレオンの少将になったころから、死までの一代記ですね。
この映画は記録に残っている場面を描写していく物語の形です。
ナポレオンと言えば戦争ですよね。戦争でナポレオンがどれだけの犠牲をだしたか、数字で表現します。欧米でナポレオンというのはどういう人物として認識されているんですかね? もし英雄としてならその裏面をみたいなものを描いているともいえるのだと思います。ナポレオンのそういう一面を描くのもひとつのテーマだと思いますが、一番のテーマは「愛」だと思いまいした。ナポレオンとナポレオンの最初の妻(だよね?)ジョセフィーヌとの「愛」。

この映画、物語にそれほど起伏はありません。たんたんとナポレオンの歴史的事実の場面を描いていきます。「どこどこで何していた」「どこどこで戦争していた」という事実は描かれますが、そこにいたる過程、なんでそこにいるのか、そこに至るまでのナポレオンのあったであろう葛藤などは描かれません(戦争の描写の時間はけっこうあったけれど)。私はナポレオンのことはそんなに知らないので(ロシアで大敗した、一回追放されたがまた復帰したくらいは知っていました)、フランス人であるナポレオンがなぜエジプトで戦争しているのか、わかりません。制作者が無駄な説明と思ったのでしょう。戦争を描く物語作品であれば、その戦争への戦略や戦術を描く手法もあったでしょう。ナポレオンであれば戦争だけでなく、政治劇として描く手法あったはずです。しかしこの作品はそういう描き方はしません。歴史的事実を積み重ねて描写していくだけです。いまそこにある目に見えた、他者でも見えたであろう事実を描写しているだけです。そこにナポレオンの内面は描かれません。ナポレオン役の人の演技はうまいと思います。なので、表情から読み取れるものはありますが、何かエピソードとして強調して描かれることはありません(映画は小説ではないですから内面を説明することはあまりないですが、エピソードで語ることはできます)。ただひとつナポレオンとジョセフィーヌの関係性以外は。ナポレオンとジョセフィーヌ以外の人物で立体的な描写がある人物はいない気がします(ロシアの若い皇帝はいい感じだなと思いましたが)。

わたしが「愛」の物語と思ったのはこの点からです。この作品がなぜ面白く感じられるかといえば、もちろん迫力ある戦争場面や、歴史的偉人であるナポレオンを知れることへの知識を刺激というのもありますが、一番はジョセフィーヌとナポレオンの関係性でしょう。
ナポレオンがジョセフィーヌに魅力を感じた場面は唐突で「最初はこんな場面いるか?」と思いましたが、出会いはなんかご都合主義的でもありますが(現実はこんなものかな。歴史的事実かもしれませんが)、物語を見ていくとこの映画でジョセフィーヌが大切な存在であることがわかっていきます。
ナポレオンはジョセフィーヌと文通しています(これは歴史的事実のようです)。ナポレオンからジョセフィーヌへの愛は過剰に感じられるほどに描かれています。時間の流れの中で、愛人をつくったジョセフィーヌへのナポレオンの怒り、戦争の現場で描かれる手紙からわかるナポレオンのジョセフィーヌへの愛、ときおり挟まれるセックス描写、ナポレオンの子を産めないジョセフィーヌとの離婚(そのときの気持ち)、フランスに戻ってきたナポレオンに会うことを考えながら、亡くなってしまうジョセフィーヌ、その後ナポレオンの心の声としてのジョセフィーヌ。
歴史的事実として描写されるナポレオン。そのたんたんとした描写の中で、その一場面、一場面、その先にあるジョセフィーヌとナポレオンの関係性の変化がこの作品を見させる力となっているとわたしは考えます。

制作者は男と女の関係性を描きたいと思ってこの作品をつくったのでしょうか? それとも「ナポレオン」描くとしたときどういうアプローチをして作品を描くか考えて、男と女の関係性にしたのでしょうか。

人の一生を映画として描くのは大変難しいと思います。時間も決まっていますし(約160分のようです)。映画として上映される作品で歴史をあつかうときはだいたい、一番面(たとえばワーテルローの戦争だけとか。すでに作品がありますが)を切り取って描かれますよね(この作品も子供のころから描いているわけではないですが)。長い時間を描くとしたら、どうしてもダイジェストというか、有名な場面を切り張り(言い方があまりよくないですね。言葉が見つかりませんでした)したような描写になると思います。ただそれだけでは面白くないですよね。歴史好きなら楽しめると思いますが、だいたいの人が楽しめないと思います。テーマとして「偉人の一生を描く」だけでは弱いと思います。ナポレオンがどれだけ人を、それも仲間の人を犠牲にしてきたかを文字として表示し、ナポレオンの英雄性のはく奪がひとつのテーマとしてあります。ここから色々考えることもできると思います。
そして人が一番興味があるであろう、人と人の関係性である「愛」をテーマにしています。興味があるからこそ、人をひきつけ、作品を見させる力になっています。こちらは考えさせるというより、作品への興味をひきつける要素としてのほうが強いと思いました。

物語として楽しませるのが難しい作品を、これほど興味深く読ませる作品にする脚本はすごいの一言です。とても良い作品でした。戦争の場面も迫力あってよかったですよ。

いきなりマリーアントワネットのギロチンから始まるので、そこでつかままれますね。
ロシアが一都市を捨てるのは歴史的事実なのでしょうか。唖然としてしまいました。数十万人犠牲にしたとしても、皇帝になったナポレオンを実質的追放することできちゃんですね。ナポレオンが追放後、一時復帰しますが、そこらへんの過程がよくわかりませんでした。ワーテルローでフランス軍の指揮とっているし。そこらへんも含めて、歴史を勉強したいと思いました。

映像をもっと注意深く見ようと思うのですが、いつも物語を追ってしまいます。離婚後、ナポレオンが赤ん坊を連れてジョセフィーヌと会う場面。
会う直前、遠くから水辺にいるジョセフィーヌを遠くから撮影しているんですよね。ジョセフィーヌの寂しさが表現されていると思いました。


更新情報はtwitterにUPしてます! フォローお願いします!
https://twitter.com/yuto_mori_blog
テーマを探求を中心とした映画ブログ書いてます。リンクは下記です。


映画の感想や、小説風の日常の記録でみなさんを楽しませたいと思っています! よろしくお願いします! 楽しめたら「スキ」「サポート」など頂けたら嬉しいです!