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園田賢の8s放銃と妥協力【Mリーグ】

 はいどーもゆとりです。今回は超ざっくり言うと園田賢の麻雀を真似してはいけないという話なのでファンの方は一応ご留意下さい。

南4局1本場 2:05:45 〜

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ここで現物の5sを合わせず打4s。

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残り山2枚でテンパイを取って打8s。これが下家の勝又へ一発放銃となり落着したことで物議を醸した。

 この2つの選択についての僕の第一感は、打4sはたぶん損、打8sは押し優位の可能性が高い気がするけどオリ。

わざわざnoteに書こうって割に随分とアバウトだなって思うかもしれないが、今回はこういうアバウトさというかファジーな部分の処理についての話。

◉打4sについて

 とりあえず打4sをたぶん損と感じた理由はちゃんと書いておかないと怒られそうなのでその辺の話から。

まず動画内で言及されている打4sの最大のメリットは対面のトップ目魚谷から上家瀬戸熊への差し込み抑止にあるわけだが、これ自体がちょっと怪しい。テンパイ復活の可能性を匂わせることで抑止できるのは36sの差し込みであって36mは持っていれば打たれる。つまりそもそも36sを持っているかどうかというのが影響の大きそうな要素の一つとなる。ここで魚谷視点で差し込み順を考えると、37sがそれぞれ2枚ずつ河に切られていて園田の8s1sの切り順から3sがさらに薄い可能性が高いので5s6s両方持っていたら6sを優先している可能性が高い。3sに関しては残り1枚なので持っている可能性が低そう。

次に打4sの最大のデメリットは上家への放銃だが、これは動画内でこの局面へ至る前に園田自身も言及している通りソーズを打てなくてなんか4s待ちになっちゃいましたというのがあり得る。問題はそれがどの程度あるのかだが、通ってる牌が多過ぎるので無視できるレベルではないものの具体的な放銃率はわからない

少し状況を整理する。

「瀬戸熊が36s待ち」且つ「魚谷が36s所持またはツモ」の場合に瀬戸熊がツモれない割合分だけ得。
「瀬戸熊が4s待ち」の場合に瀬戸熊がツモれない割合分だけ損。

損得の幅は順位点20,000点に放銃素点を足した程度で大きくは変わらないので、どちらの確率が高いかで考えて良さそう...?

本当にそうだろうか。

そもそも魚谷が打4sを見て36sの差し込みを自重するのかという問題が残っている。確かに打4sはテンパイ復活のケースが少なくないと読める材料が盤面上にはあるが、「なんとなく張ってなさそう」とか「445sからなら5s切るから張ってても6sは通りそう」とか色々な考えによって36sの差し込みを抑止できない可能性がある。つまり相手がどういう思考を巡らせるかまで決定づけるような強烈な情報にはならないのではないかってこと。

 今回僕が書きたいことは大きく分けて2つあって、片方はこういう相手のファジーな選択に大きく依存しそうな事象を自分都合で決めつけるなってことで、後の打8sも似たような話になる。

 さて、僕のことをある程度知ってくれてる読者は、なんかゴチャゴチャ書いてるから色々考慮してちゃんと比較してるんだろうなと思ったかもしれない。園田賢というワードから興味を持って読んでくれた方は、下らないことを並べ立ててソノケンを批判しようとしてるな、と懐疑的な感想を持ったかもしれない。しかし、ここまでの僕の話は「要するになんとなくでしかない」というものだし、ここからソノケンを批判することもないので是非軽い気持ちで読んでほしい。

◉打8sについて

 ということで打8sに関して。4sと同様の理由で瀬戸熊への放銃もあり得るが789sくらいなら回らず押すケースが多そうなので8s待ちになっちゃいました率は4sよりも大分低そう。さらに動画内で言及されている通り勝又に8sが当たるケースは限定的に見える。が、リターンを考えると自分の和了は統計ベースで6〜7%程度、高く見ても10%はなさそうで、トップを目指せると言っても次局満貫ツモでもまだ届かないのでトップ率はそれほど高くない。つまりリターンも限定的。

リターンの方はある程度見積り易いがリスクの方はかなりファジーな選択に依存しているように思う。

勝又のツモ切りリーチは考えられるパターン数が少なく、それぞれのパターンの重み付けが難しい。魚谷の打5mを見てすぐにツモ切りリーチをしても良さそうなものだし、強烈な手替わりがあったと考えるならカン8sは普通にあり得る。5200直撃で変わらないので本譜のようにリーチドラ1の可能性が十分あって、放銃するとラス落ち抽選が絡むためここへの放銃率を「なんとなく当たるケースが少なそう」くらいで低く決めつけるのは危険に見える。これだけ待ちの候補が絞られている中で5sと実質同巡だからといって間違いなく放銃率5%以下だと言い切れるだろうか。

瀬戸熊に関しては大半の打牌がファジーなのでこういうプレイヤーの"対応"に読みを入れて決めつけるのは本当にナンセンス。

押せそうな要素は拾えるものの、ちゃんと考えると結局はなんとなくの域を出ない。放銃率0%としたときに平均収支+1.5pt程度になりそうで放銃率5〜7%くらいがボーダーかなっていう雑な見積りをした上で、放銃率もよくわからないのだから手に負えない。賛否あるだろうが、こういうのはオリておけば悪くても平均0.5ptもマイナスしないだろうって雑にオリるのが勝ちやすい考え方だと思う。

これが今回書きたかったこと2つ目、妥協力。考えて読み入れても結局なんとなくの域を出なかったら無難な選択が出来るというのも一つの技術。

今回の園田賢に代表されるような麻雀プロの多くは「最善を突き詰める」が大前提にあるように見えるし、プロを名乗るからにはその姿勢でいて欲しいと思う反面、多くの人にとって勝ちやすいのは上手く妥協する麻雀だと思う。誤解のないように書いておくが、麻雀プロに妥協力がないというわけではない。

麻雀というゲームは定量的に語れない論理を積み上げるといくらでも好きな結論を導き出せてしまうので、なんとなくの域を出ない問題を考え過ぎるとズレていく可能性がある。

僕は勉強の一環として言語化を取り入れているが、そういったある種の言葉遊びのようなものに本質的な価値は無く、あくまでも自分の中で整理できたり処理しやすくなったりするだけで、そこに正しさがあると勘違いしてはいけない。と自戒を込めて書いておく。

◉余談

 ところどころ細かい比較要素を端折っちゃいましたが、今回は打牌の検討がメインじゃないのである程度は目を瞑って下さい。酷い見落としがあれば指摘して下さい。

そういえば今回は触れませんでしたが、ゲーム理論的に考えるのはちょっと面白いですね。麻雀はそういった方面の自由度が低いと思うので正否はよくわかりませんけど興味深いです。

MリーガーがYouTubeで牌譜検討しててこういうアウトプットが気軽に聞けるっていうのは有難いですよね。こういうコンテンツが上手くマネタイズできると選手も研究とかしやすくなると思うので盛り上がって欲しいです。ということで牌譜検討配信で気になったところをまたnoteに書いたりするかもしれません。

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