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ストレッチする経験は、渦中は大変だが、 その後の自分にとってギフトになる

社会人になってそろそろ15年ほどになりますが、
今月は、その社会人生活の中でも一、二を争う厳しいプロジェクトを担当し、目の回る日々を過ごしています。

ほぼ一か月の間、気持ちが張り詰めっぱなしで休まることがなく、
体力的にも精神的にも随分ストレッチしました。

仕事からの帰り道、その辺のベンチで暇そうに休んでいる人を見ると、
声をかけて頼み込んで、数値の入力作業等手伝ってもらいたい衝動にかられるくらい追い込まれています(笑)

ただ、このようなストレッチする経験は、その渦中は大変ですが、
その後の自分にとってギフトになったというのをこれまで実感しています。

人は追い込まれると、生存本能にスイッチが入るようなところがあって、
冗談のようですが、今回私は歩く速さも上がれば、思考のスピードも上がったり、集中力が研ぎ澄まされたりという感覚があります。

その結果、乗り越えた時には一気に専門知識の習得が進んだりするだけでなく、思考力の向上にもつながっているように思います。(何か裏付けがあるわけではないですが)

そもそも自分ではなかなか限界以上だと感じる負荷はかけることはできません。

自分の認識していること、自分はここまでならできると思っていることより、もっと高い位置に自分の能力の限界があるというのはほぼ間違いのないことで、また、自分の自覚していない分野の能力の伸びしろというのもあります。

そういう意味で、自分の意思だけでは引き出せない力を、上司や周囲の状況からある種強制的にもらう機会は、組織で働くからこそのメリットでありますし、同時に特にキャリアの若い時期に貴重なものになるように思います。

リクルート在籍当時、新人は飛込名刺獲得キャンペーンというのをやっていました。1日に100件くらい飛び込んで名刺をもらい、

「採用の件について何かあればお声かけください」

と伝えて回るというものです。

今では時代錯誤だといわれると思いますし、そうした手法を見かけることもなくなりました。仕事の獲得方法として効率的ではないかもしれません。

まったく専門知識もない素人がいきなり会社に飛び込むことになりますので、やはり躊躇するものですし、命令されなければまずやらない類の行動です。

しかし、習うより慣れろで、会社の玄関を100社もくぐってくると感覚が変わってきます。それぞれの会社から感じる雰囲気に違いがあることを肌で知ることだけでも貴重な経験になったなと振り返って思います。

この方法は、仮に入社した後にしっかり資料を読んで準備をして、電話をしてアポをとって、、、というプロセスを踏むよりも成長スピードを引き上げてくれたのではないかと今は思います。

もちろん、誰にでも、どんな時期でもというわけではなく任せる側の力量が問われますが、こうしたある種トップダウンで本人は無理だと思うレベルまで仕事を投げて任せてしまうマネジメントには、現場に創意工夫を生み、力を引き出すという点でこれまではよく機能していて、今後もやはり有効であり続けるだろうと思います。

ところで、私が今コンサルタントとして外部から会社に入ってみても、トップダウンの意思決定が実践されている組織はやはり主流で、かつ経営的にも機能していることが多くあります。

ただし、だからかもしれないと思う副作用もあります。

それは、日本の会社には本音と建て前の文化が広くあることです。どんな会社でも上司と部下とのマネジメントの軋轢がありますし、よくわからないしきたりやルールがあります。

トップマネジメントの成功の裏に、トップの言うことには従うものだという文化が悪く作用し、日本では少し過剰な成功体験として残っているように感じることがあります。

空気を読み、議論し意見することを批判と捉えられているようなところが日本の組織にはしばしば感じられます

トップダウンの意思決定が一たびバランスを崩すと、現場が意味のない内向きなことに仕事の時間を使うようになったり、お客様無視のサービスになってしまったりと経営の方向性があやうくなってくるということが起きます。

一方で数が少ないのですが、ボトムアップで社員の自主性を引き出して
うまくいっている会社も見ることがあります。ただし、こちらも間違えれば会社の秩序が崩壊して経営的に危うくなります。なかなか扱うのが難しく、そのマネジメント方法はまだまだ日本組織では成熟していません。

しばしばこのトップダウンとボトムアップとの間でマネジメントは揺れ動き、苦しみ、答えを探しているのではないでしょうか。ちょうど日本はその過渡期にいるような感じがしています。

2017/10/30 VOL88                                                                                        sakaguchi yuto

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