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昇進すれば自由に決められるようになると期待していた話

会社に勤めていると、大きな戦略や方針にしたがって動くことが必要です。

営業マンだった頃、そのような方針の転換がちょくちょくあったのですが、その方向性に現場がなかなか納得しないでいると、

「会社を変えたければ偉くなれ」

「まず成果を出して評価してもらい、それから会社を変えてみろ」

というようなことを言われていたのを覚えています。

当時、私はわりと素直に、「そうか、社の決定に影響を与えていくためには結果を出して偉くなること。」「それが権限を持つために必要なのだ」と思ったのを覚えています。

今の会社でマネジャーの立場になって、やっとある程度の決定権を持ち、他の人に指示を出せるのだと期待したのですが、実際経験してみると、ある面ではそうでしたが、ある面では思い違いだったというのが実感でした。

いろんな場面で重要な情報が入ってきたり、意思決定のプロセスに入れてもらえるという点では決定権や裁量権が増したといえるのですが、一方で、不自由になったと思えることも出てきたからです。

当たり前かもしれませんが、まず実感したのは、マネジャーというのは自分の力で直接成果を出せなくなるという事実です。

一営業マンの頃は、ある意味自分でなんでも決められる。人と協働したり、考え方をすり合わせしなくても、自分一人の自己管理と努力が結果にストレートにつながっていきます。

自己決定権がある意味、非常に大きいのです。

もちろん大きな戦略に自分の意見を入れ込んだりする余地は少ないのですが、決められた範囲の中での圧倒的な自由がありました。

それに対してマネジャーになると、とにかく自分でない人に動いていただかなくてはなりません。これは思った以上に大変なことです。

自分の部下に頼らなければいけなくなるというある種、弱い立場に置かれると言ってもよいかと思います。

人を信頼して任せることが求められる。ある意味手放すことが必要になるとも言えます。

また、更に難しくしている理由に、マネジャーは、部下に何をさせるべきかわかっているということが前提になっており、当然期待されていることがあるように思います。

部下に「どうしたらいい?」と聞いたりすることはマネジャーとしてすべきでないと考えられがちです。

部下に動いてもらわないといけない立場であり、かつ、正しいことをいつでも知っていて指示できないといけないわけです。

会社では、一般的にプレイヤーとしてある程度成績を残したり、それ相応の年齢に達したからという理由でその部門のマネジャーに昇格する人事が多くあるように思います。

もちろん業務を知っているということは、マネジメントを行う上で大きな助けになりますが、よく言われるように、自分がプレイヤーとしてやることと人にやってもらうことは異質な能力です。

いつも適切な答えを指示しなければならないという思い込みは上司部下間の軋轢につながっているのではと思います。

こうしたことから、マネジャーの大きな課題の一つは、自分の力で解決しなくてもよい状態をつくることであり、その変化の壁を上手に超えられた人は、一つ成長をしたのだと思うようになりました。

人が自らの力で解決できるようになるということが本当に人を助けることであるし、よい上司、マネジメントとは人が自らの力で変わっていくことを支援できることなのだろうと思います。

職位が上がるほど、本質的には自分で決めることができなくなるというと少し、誇張しすぎかもしれませんが、そうした認識でいることは重要なことかもしれません。

来年からいよいよ新しい仕事がスタートします。皆様よいお年をお過ごしください。

また来年もよろしくお願いいたします。

VOL55 2014/12/31                                                                                            saakguchi yuto 

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