福島を「支援する」ということが誤解であり、逆に、福島の地によって日本が支えられているという話をきいて

前回、私が今関わっている「みちのく仕事」についてご紹介しました。

みちのく仕事(http://michinokushigoto.jp/)

震災が起きてから1年ほど、私は特に何も行動をしていませんでした。

がれき撤去など力仕事に自信がなかったり、何をやったらいいかわからないといろいろと理由をつけて他人事として思考停止してしまっていたというのが本当のところだなと思います。

みちのく仕事とつながりができ、東北の人の声を聴いたり、直接現地に行く機会ができると、少し見えることが増えてきました。

印象に残ったのは、原発の内部に入られた浪江町職員の方のお話でした。

その方は、震災が起きた直後の原発内部の状況が、本当にぎりぎりのところでコントロールされ、一歩間違えば、福島だけでなく、東京、西日本も含めた日本全体が放射能汚染にさらされていたという事実を教えてくれました。

そして、改めて福島を「支援する」ということが誤解であり、逆に、福島の地によって日本が支えられているのだということを教えてくれました。

このことを知って、私はまったく想像力が欠けていたことを痛感しました。

今の自分の生活が、原発を引き受けてくれていた福島の上に成り立っているというつながりを、その方の言葉を聞いて初めて実感することができました。

そして、起きていることが自分の問題だということにやっと少し考えが及ぶようになれました。

東北で事業を興こしている人は、その意味で私より一歩も二歩も自分ごととして想像し、新しい仕組みを実際に生み出しています。

この視点においても東北で今動いている人は注目に値すると思っており、自分を見直すために、日々の仕事を見直すためにも「みちのく仕事」に注目しています。

また、被災地の課題は、近未来の日本の課題を先取りしていると言われています。

地域医療の再建だとか、産業の創造、若者の教育など新たな取り組みが盛んになされています。

先日、ある調査機関が出したというレポートでは、これから50年後の仕事の60%は今存在しない仕事であるという結果だったそうです。

仕事は今「存在する」ものの中から選ぶだけではなく、新たに「創りだす」ものに変わろうとしているのかもしれません。

そういう意味で私の故郷、熊本をはじめ、地域で未来の事業、雇用をどうつくっていくかということを考える時に、今の東北で起きていることは大いに参考になると思います。

また来月もよろしくお願いいたします!

VOL26  2012/7/29                                                                           sakaguchi yuto

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