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組織で働く人間には、論理だけではわりきれない 感情がある(吉本興業の例)

今、ワイドショーでは吉本興業の問題で持ちきりです。

いろんな観点でこのニュースを追いかけている人がいるとは思いますが、
組織の中の関係性をテーマに仕事をしている身としては、やはり、この後宮迫さんと亮さんが吉本興業の経営陣と和解して、気持ちが通じ合う関係性ができるかどうか注目しています。

組織では、会社の方針で個人的な気持ちが押し込められるということがよくおきます。

かんぽ生命の問題もまさに今取り上げられていますが、
組織は利益を出さないと存続できませんので、「どうしたい」の前に
「どうすべき」という論理が先に立ちます。

そのことは組織では避けられないことともいえるかもしれません。

しかし、同じように、組織で働く人間には論理だけではわりきれない
感情がある
ということも、同時に消えることのないものです。

宮迫さんが「お前、テープとってないやろな」と言われたということを
わざわざ、会見で強調されたシーン。

ロンドンブーツの亮さんが涙ながらに、「本当のファミリーならば、子どもが本当に悪いと思ったことを謝ろうと、正しいことをしようとするのを邪魔するのは違うのではないか。私はどうすれば自分がちゃんと謝れるかを助けてほしかった」と発言されたシーン。


このような声からは、

「私の気持ちをわかってほしかった」

という思いが
溢れているように感じられ、聴いていて心に残りました。

二人は、だから自分たちは悪くないと言っているわけではありません。

岡本社長が二人の気持ちに寄り添う姿勢を示せていたら、
結果的に会見を開くタイミングが遅くなったとしても、
二人はその進め方に納得していたかもしれません。

組織で関係性がこじれるときに起こっているのは、単純に結論を出そうとして、「よい」「悪い」を徹底的に議論して決めるというアプローチです。

それこそ弁護士をつけて論点を徹底的に戦わせるならば、結論を出すことはできるでしょう。

しかし、このような議論は、どちらかが「正しい」「間違い」を決める戦いになってしまっており、勝っても、負けてもお互いの関係性は修復されません。むしろ溝を決定的にします。

一方で発展的な関係性を伴う解決策を見つけたい場合は、
「いい」「悪い」、「正しい」「正しくない」の評価基準をいったん脇に置いてどんな気持ちでその意見を言っているかをまずは対話することが大事です。

意見の背景にある、「気持ち」を聴きあうことが糸口になります。

嘘をついてしまって、本当に苦しい。後悔しているという気持ちが相手に
届いたな、と感じることができていれば、亮さんはその戦闘態勢がすこしほぐれ、冷静に次の話ができた可能性があります。

組織がうまく変化するときにはパターンがあります。

▼これまで感情を抑えてきた立場の弱い側が、立場の強い側へこれまで
伝えきれてなかった思いを伝える。
▼それによって、立場の強い側が、相手の感情に気づき、変化する。
▼その変化をみて、今度は立場の弱い側も変化する。

このプロセスを経て、
お互いの共通の利害が見つかれば、
両者は対立する関係ではなく、
お互いにどうサポートし合えるのかという関係
になり得ます。

今回の吉本興業さんのケースでも、そもそも会社も問題を大きくはしたくはありませんし、芸人さんも自分の好きな芸を、仕切り直して気持ちよく続けたいわけです。

「そのためにお互いがどうすれば協力できるのか」という共通の目標があります。その目標に向かって共に協働する立場に立てるかが大事です。

これから両者が更によい関係性を構築し、強い吉本興業ができるのか
期待してみていたいと思います。

2019/7/28 vol.108
sakaguchi yuto

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