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昨日まではその会社がなくても世の中は何も困らなかったという事実を考えた

最近、東京である経営者とお話したのですが、その方が、

「私たちの事業は、なぜ存在しているのか」ということを青臭くずっと大事に仕事をしているという話をしてくださり大変印象に残りました。

その会社は10年ほど前に立ち上がったのですが、新たにスタートした会社というものは、起業した日の前日までは、世の中には存在しなかったわけです。

特別なケースを除き、昨日まではその会社がなくても世の中は何も困らなかったという事実を考えたときに、なぜこの会社が生まれる必要があったのか、この会社は何を為すために世の中に生まれたのかという問いはとても大きな意味を持つように思います。

事業がスタートし、最初のお客様が現れた日はきっと一生忘れられないのではないでしょうか。

顧客に心から感謝し、期待に応えようと一生懸命に取り組みます。

しかし、いつからか順調に仕事が増えはじめたり、創業当時を知らない社員が入ったりしていくうちに、つい、要求の多いお客様を面倒だなと思うようになってしまうかもしれません。

また、事業をスケールさせたり、効率化をしようと新たにシステムを導入したり、パッケージ商品を開発することで、時流に合わなくなって、顧客が多少不便になってもそれを売らなければならなくなったり、いつの間にか「何のために」という原点を守ることが難しくなるものではないでしょうか。

「私たちは何のために存在し、どんな社会を実現したいのか」

という問いは、現実的ではないかもしれません。

しかし、先日会ったその経営者からは、このような自らの存在を真摯に問い続けている哲学と品格を感じて純粋に魅力的だと思いましたし、結局のところ、それが業績にもインパクトを残しているように思えました。

私が今取り組んでおりますシステムコーチングは、人や組織の意識をその深さに応じて3つのレイヤーに分けて考えます。

1.合意的現実レベル

毎日の生活、人々が「現実」としている世界、数字や事実の世界。組織で言えば、財務、製造、生産といった具体的機能を指します。

2.ドリーミングレベル

感覚や期待、夢や場の感情の世界。組織で言えば、社風、やる気、マーケティング、計画や予測、目標などを指します。

3.エッセンスレベル

存在の源。組織で言えば、チームスピリットや企業文化、ビジョンなどを指します。

会社が継続する中で、この3のエッセンスレベルを意識し、つながり続けるということは難しいものです。

利益の出せない夢ばかりの会社はやはり続きませんが、哲学のない会社もやはり、本当の意味で社員を惹きつけ、顧客にファンになってもらい、そして仕事を通じて自身が大きな喜びを得るという働きがいにはつながらないと信じたいものです。

また来月もよろしくお願いいたします!

VOL50 2014/7/27                                                                                        sakaguchi yuto

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