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あなたが何を言うかではなく、どんな人であるかを見てきた

今回は、存在承認とマネジメントについて書いてみたいと思います。


私はこれまで、転職や異動を通じて何人かの上司にお世話になってきました。また、仕事柄、比較的たくさんの経営者の方と接する機会がありました。その意味で、様々なスタイルの社長、マネジャーを見てきた方だと思います。

もちろん、皆さん魅力ある方ばかりなのですが、
時に、「この人についていきたい」と心から思わせてくれるような方に
時々出会ってきました。

忘れられないのは、私が営業時代にお世話になっていたある経営者の方です。

その方とは、これまで取引があるわけでもなく、1,2か月に1回くらい
お会いして、人のマネジメントや組織のあり方について意見交換を
させていただく関係が1,2年ほど続いていました。

ある時、いつものようにお時間をいただいて訪問すると、
じゃあ、「契約しようと思うから、申込書をもってきて」とおっしゃるのです。

正直、それまであまり商品について具体的に話すこともなく、
きちんと詳細の企画や費用等を説明をしたことがありませんでした。

そこで、「一度企画の詳細や見積もりをお持ちしますので、ご検討ください」とお伝えすると、その方は、次のようにおっしゃったのです。

「あなたが何を言うかではなく、どんな人なのかを私は見てきた。
あなたを信頼しているから、価格も企画内容もあなたの言うとおりにするよ」

今、書いていても、ぐっとくるのですが、この方は、私の存在そのものを深く承認してくださっているのだとその時強く感じました。そして、この人をがっかりさせることのないよう、けっして信頼を裏切るような仕事をしてはいけないと背筋が伸びる思いがしたことを覚えています。

それ以来、仕事を変わってからも、この人に恥じない仕事ができているか、
この人の信頼に足る自分でいられているかというのは、自分の指針となり、
私を律し、影響を与え続けてくれています。

当時はその方がしてくださったことの意味を言語化できずにいましたが、
人材育成の世界に入って、それは「存在承認」だったということを知りました。

とあるコーチングの本では承認には3つあると説明しています。

1つ目は、結果承認です。
目標を達成したとき、成果が出たときに、
「よくやった」とほめることであり、
これは多くのマネジャーがやっていることだと思います。

2つ目は行動承認です。
よく努力しているとか、頑張っているプロセスを褒めるというもので、
これも大事だと言われているので、意識している方も多いかもしれません。

3つ目が存在承認です。その人の存在自体を尊重していることを表現することです。ささいなことでいえば、会議でちゃんと発言を求めるとか、挨拶をきちんとすることもあります。

更には、先ほどの私のエピソードのようなもの、これも存在承認にあたるのではないかと思います。

存在承認の力は大きく、時にその人の人生を変え、可能性を最大限に引き出してくれる力を持っているものだと実感しています。

これは人を、言葉の中身や行動でジャッジしているのではなく、
その人自身のあり方、大事にしている価値観をみて接することだと思います。

実は、表面的に反対意見を言ったり、厳しいフィードバックをしても、
この人のいうことなら受け取れるという人がいますが、その人はきっと相手の存在は揺らぐことなく承認していて、それが相手に伝わっているということがあるように思います。

最近ふとこのことを思い出す出来事があり、今回はこのテーマを
取り上げさせていただきました。

また来月もよろしくお願いいたします!

VOL121 2020/11/22                                                                                            sakaguchi yuto

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