”言っていること”と”実際にやっている”ことの差に気づけないことが人材育成の難しさである

人材育成や組織開発の仕事をしていると、つくづく人が変わるのは難しいと身に沁みます。

「研修なんて意味がないよ」、「どんなに衝撃的な気づきがあっても、
職場に戻ってしばらくしたらすっかり何事もなかったかのように元通りだ」
という批判の声は昔からずっとあります。

現場は忙しく、目の前のことに追われているうちに、思考も行動も、
すっかり元の習慣に戻ってしまうということは仕方のないことです。

これは、研修を受けてどうやったらいいかはわかっているけど、
本人がついサボってしまう。忘れてしまうからできないのだという考えです。これを”習慣化できない問題”とします。

一方で、私は最近、頭でわかったけれども、実際に自分ができてないことに
気づけないということが多くあるのではないかと考えています。

皆様の周りに、言っていることとやっていることが違う
と感じる人はいらっしゃいませんか?

「率直な意見がほしい」と言われたのに、実際に意見したら
「それは違う」と返事をされてうんざりしたであるとか、

「フェアであることを大事にしている」と言っているが、
実際には事実ではなく印象で人の意見を判断している人がいる
というようなことです。

上記のような例はいろんな組織で本当によく見聞きします。

これは、本人に二面性があるというよりも、本人が「気づいていない」ということが大きいように感じられます。

誰もが、研修で「人の話を率直に聴こう」「印象ではなく事実で判断しよう」と教えられたら、「その通りだ」「自分はそれを心掛けよう」と思うものです。

しかし、実際に現場でそれを実践するのは難しい。
なぜなら、自分が今、どのような意識、行動にあるかに気づくことが
できないからです。

これを”自己認識の問題”とすると、
私はこちらの方がより深刻な問題ではないかと思います。

1つめの”習慣化できない問題”に対しては、ダイエットと同じく、
本人が日々努力を続けられるサポートが必要という話になります。

こちらも大変な労力がかかることではありますが、制度を整えたり、
強制的に日々の実践が可能になるよう環境整備をする方法を
とることで確実に効果が期待できます。

一方で2つめの”自己認識の問題”は、本人の努力ではなかなか
改善が難しいことになります。

第三者であるコーチなどが現場の日々の振り返りに伴走して、
「今の行動はどういう思いから来てますか?」と立ち止まって考え、
気づいてもらうフィードバックをしていかないと、自己認識のずれは修正されていきません。

イメージとしては、水泳のコーチのように、
横で見ていて、「手の動き違うよ」と伝えてあげるということが
必要だということです。

現在の人材育成は、何か専門知識を身につけるということではなくなってきています。

検索して調べればわかる、AIにお願いすれば回答が来るという知識を教える役割は終わり、人の変容を成果にしなければなりません。

そうすると、研修というのはどこかに集まって講義を受けるというのではなく、現場伴走型、コーチ型で提供されることに意味があるようになると
言えるのではないかと思います。

また来月もよろしくお願いいたします!

2021/2/27 VOL124                                                                                    sakaguchi yuto

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