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新しい情報が関係性をシフトさせる

人事の世界では今、「心理的安全性」というキーワードが注目されています。

これは、組織の中でメンバーが気兼ねなく自分の意見を言うことができると感じられる状態のことを言います。

たとえば、心理的安全性が高い職場では、納得できないまま不満を抱えて仕事をする人が減ったり、多様な意見によって意思決定の質が上がることが期待されています。

一方で、皆が勝手なことを言うようになると、もしかしたら組織がバラバラになるのではということや、方針が浸透せず業績が落ちるのではという懸念があります。

心理的安全性は果たして組織に本当によい効果をもたらすのでしょうか。

まだまだ一般的にはイメージが持ちにくいかもしれませんが、
日頃、組織の関係性改善の仕事をしていると、それほど馴染みのないものではありません。

実は、組織がよくなっていくときには、並行して心理的安全性が高まっていきます。

たとえば、上司部下、部署間でお互いに非協力的な関係になっている
組織があります。

そうした組織に介入すると、まずやってもらうことは、
一人ひとりが感じている不満、戸惑いを吐き出してもらうことです。

相手に対する不満は面と向かってはなかなか伝えづらいものです。
そのため、普段は一部の人にしかその内容が共有されることがありません。

それを私のような第三者が入った際に、出してもらうようにするのです。

次に、そうして出た普段言えない本音を、本当に聞いてほしかった人に届け、それに対する感想も同様に出してもらいます。

それをまた、出した人に伝え返していくのです。

こうして今までは伝え合わなかった、だけれども実際には重要な情報が、
その組織の中で共有されることになります。

いつでも、組織が変わるのは、新しい情報がもたらされたときです。
今までと同じ情報の中では状況は変わりません。
新しい情報によって見ていた世界の捉えなおしが起き、関係性がシフトすることによって次に進むことができます。

そうして得た新しい情報に対して、気づいたことを対話していきます。

「自分は今まで〇〇だと思っていたけど、△△ということがわかった」
「もしかしたら××だったかも」

たとえば上記のような声が出てくると、
今、自分たちがどういう状況に陥っているのかに組織全体が目を向ける状態になっていきます。

すると、相手や会社、体制などの批判を繰り返していた状態から抜け出し、「私たちはどうしたらいいか」ということに向き合える準備が整っていきます。

そこから初めて、その組織にとって「これだといけるかもしれない」という
答えが生み出されていくのです。

本音を出し、もう隠し事がないな。この人の思っていることには裏はないな、自分の思っていることにも裏はないなと皆が納得していくと、人は安心するものです。

メンバーが気兼ねなく自分の意見を言うことができるためにはオープンネスが必要です。

組織にとってタブー視されている不平不満も含めて、様々な声を出してしまうこと。その先に実現するのが心理的安全性の高い職場であり、そのことが、組織に対する信頼、ひいては機能する打ち手や施策につながっていくように思います。

2019/3/31 VOL104                                                                                  sakaguchi yuto


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